フランス革命の醜悪さが詰まっている

著者のフランス革命期シリーズ、第6段です。

かの革命が炙り出した人の醜悪さの最たるものの一つを、ジャック・エベールという人物を主軸に据えることで暴かれていきます。名誉が誰にあるのか、衆目に明らかでありながら、無慚に踏みにじられる恐怖と不快への想像は秀逸です。

そんな恐怖の時代を、革命のユダこと我らがジョセフ・フーシェが鮮やかに暗躍します。
この度のフーシェ、手を下したことといえば、料理にほんのひと摘み調味料を加えるが如き些細な働き。
それが最後には最大限の効果となり、革命の毒に、また一つの結果をもたらすことになります。

そして正義なき革命は火だるまとなり、前に並んだ者から順に自分が奈落へ突き落とされるまで死の連鎖が続く、凄絶な皮肉で締めくくられます。

著者のこちらのシリーズはフランス革命期の決定版と太鼓判の作品です。
ぜひ、すべてを、そしてこちらの作品をお読みください。

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