純愛に染まるキャンバス アートのようなヒューマン恋愛ドラマ

拝読していて、ますこれだけ多感な年頃の男女の複雑な感情の機微を、繊細に表現する作品は、そうそうないと感嘆しております☆

画家を目指していたが、事故で利き手を負傷し、夢を諦めていた少年が、少女と出逢う。
そこから、どう二人の関係を育むかが、丁寧に綴られています。

心を通わす2人は、順調に関係を発展させているように見えますが、もちろん困難が待ち受けます。
といっても、大喧嘩をしたり、何か過酷な試練が待ち受けていたり、というわけではありません。

しかし、画家(を志す者)というのは、私の先入観かもしれませんが、どこか凡人とは違う卓越した価値観を携えており、それが、2人の愛が一見順調に見えるのに、どこか奥ゆかしく薄氷を踏むように脆く感じて、読者を(いい意味で)ハラハラさせられる表現の仕方が絶妙です。

繊細に表現すると申し上げましたが、この作品はアートのような作品です。
画材か文章の違いこそあれ、キャンバスにここまで繊細に書き上げられた作品は、美しさのあまり嘆息してしまうほど。
(なお、美術をテーマにしていることもあり、実際の名画も各所で引用されています。それを調べながら読むと面白さは倍増するでしょう。)

そして、随所に読み仮名を振って読みやすくする、きめ細かい配慮も素晴らしいです。

恋愛ヒューマンドラマの長編ですが、ストーリーとその表現の美しさに触れたい方はもちろん、楽しみたい方にも、本当にオススメしたい作品です!

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