ドーナツの穴に盗みの美学（ロマン）を求めるのは間違っているだろうか？　～名声ほしさで盗みに入れば時空とび越え異世界デビュー！？ドーナツ係に任命されつつある毎日だけど、俺に盗めないものはそんなにない！～

天下の大泥棒。
そんな異色な称号を祖父に持つクロトは、張り合いのない退屈なすぎる泥棒ライフに飽き飽きしていた。

昼はしがないドーナツ屋。
夜は灰色のローブを身にまとい街を駆ける『怪盗ラット』ととして、日夜行われている闇取引に介入しては、お宝を横取りし、スリルを味わう日々。

なまじクロトの盗みが天才すぎるがゆえの悩みだろうか。
もはや単純作業になりつつある盗みの現状に、あえて自分から予告状を出して盗みの難易度を上げる始末だ。

そんなある日、死んだはずの祖父からの手紙が届く。

『わしが生涯で盗むことのできなかった、公爵家のお宝を盗んで見せよ。まぁおぬしのような半人前には無理じゃろうがな』

まるでクロトの退屈を見越したかのような挑戦状に、盗みの情熱を取り戻したクロトは、ドーナツをのどに詰…続きを読む