妖精惨殺証言

　小学校二年生だった『私』（男性）は、近所に住むクラスメイトの暁美との帰宅途中に、妖精としか思えない羽の生えた人型の生き物を誤って踏み殺してしまう。二人で遺体を土に埋めて葬るが、私はその日以来、妖精の死骸が甦って仕返しに来る悪夢に悩まされ続ける。一方で暁美は妖精の存在自体を忘却しており、私が墓を掘り返すと、遺体も忽然と姿を消していた……。
　現実に侵食してくる妖精の死に馴化しながら成長していく主人公の不気味な人生。作者自身、できればもう二度と読み返したくない、グロテスクな世界と後味の悪い結末を楽しめる上級者向けの7万文字。
　ダヴィンチ文学賞落選作品。