何を食べて育ったら、こんなに素晴らしいセンスが身につくの!?

カクヨムさんの仕様で★が3つまでしか入れられないのですが、できることなら100でも1000でも入れたい、そんな作品です。

文の構造的に難解なところは全くなく、すらすらと読めるのに、言葉のチョイスが絶妙でセンスが光り輝いています。
まず、「永久連理のネオバビロン」というタイトルがカッコイイ!! 私は大好きです!
そして冒頭の
>金銭と流血に飾られて、倫理はとうに化石になって、司法も警察も形無しの街。
という部分で、あっという間に心を掴まれました。
この一文で、ストーリーの世界観がパッと伝わります。

>「……泥中の蓮とはお前のためにあるような言葉だな」
>「この街で己の欲望以上に確かなものがあるとでも?」
このあたりのセリフ回し、素晴らしさが際立っていて、思わずゾクりとしたほどです。


物語は、探偵のジョウウンが、調査レポを書くために新興宗教の施設に潜り込むところからスタート。
ジョウウンはそこで、類稀なる美形の男で教祖の三鷹が、自分の身体から心臓をとりだすという衝撃的なシーンを目撃します。
三鷹に正体を見破られてしまったジョウウン。
そこへ武力集団のアオサメ団が乗り込んできて、三鷹に襲い掛かります。ジョウウンはあれよあれよと両者の争いに巻き込まれてしまう……。

ジョウウンの目を通した三鷹は、最初、つかみどころのない飄々とした自由人のような感じです。
でも、自由ということは、逆に言えば『ここにいて、と執着してくれる存在がいない』ともいえる。
つまり、孤独なんですよね。

終盤、ジョウウンが「……思いのほか寂しがりなんだな、アンタは」と三鷹に向かって言います。
きっとこの時、三鷹はようやく「自分の気持ちを分かってくれる人」を見つけたのだと思い、めちゃくちゃ感動しました。

垣間見える卓越した文章のセンスと、カタルシスに至るまでのストーリー構成。すべてにおいて脱帽です。
読ませていただきありがとうございました!!

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