原色とネオンと堕落と暴力、そして愛。サイバーパンクの魅力が溢れてます

まず雰囲気作りがいい。
アジアの雑多な空気感、退廃と熱狂が混ざり合った混沌、一癖も二癖もありそうなサブキャラクター……本編を読み進めるうち、そうした心躍る要素が次から次へと飛び出してきます。舞台となる世界の奥行きが感じられ、想像を掻き立てられました。

また、短編ながら豊富なアクションシーンも見どころです。
ショッキングな冒頭から艶めかしい場面に続くと思いきや、そこからは思わぬ展開の連続。画になるシーンも少なからず見られ、ぎっしりと中身の詰まった印象を受けました。スピード感を損なわない簡潔な描写も好みです。

そして何より主人公たち。
本作の最大の魅力はやはりここでしょう。「一見、水と油だがそのじつ相性抜群」。バディものの王道ですね。運命的な出会いを果たした彼らがこれからどんな未来を築いていくのか、その先が気になる終幕でした。きっと、これからジョウウン君は気苦労の絶えない日々を送っていくことでしょう。

本作は女性向けということで、たしかに内容にBL要素を含みますが、その点が気にならなければ男性が読んでも楽しめると思います。私は「サイバーパンクもの」ということで読み始めましたが、満足のいく読書体験をさせていただきました。
非常に面白かったです!

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