揺れる世界の中に、君を見つけて。

 主人公である女性は、男性と付き合っていた。一生懸命に彼を愛し、些細な言動やプレゼント一つにも拘っていた。しかし、ある日突然彼から別れ話を切れり出され、そのまま本当に別れてしまった。それはどうやら、「魔女」と呼ばれる女性に関係しているらしかった。その「魔女」は、他の人と付き合っている男性を奪うと言うのだが……。
 傷心の女性は幼馴染の先輩に優しくされて、フラれた時の傷を癒していく。そしてそのまま二人はつき合うことになる。しかし、先輩は女性を想えば想うほど、自分が女性の傍にいるべきではないと、身を引いてしまう。つまり女性は短期間の間に、二人も大切な男性を失ってしまうのだった。
 そんな女性を慰めたのは、同性の友人だった。友人には彼氏がいるものの、女性を必死に慰めてくれる。持つべきものは友人だ。しかしその友人と彼氏の関係にも変化が訪れようとしていて……。

 若者たちの複雑な恋愛模様を、丁寧に描いた群像劇。
 レヴューでは女性が主人公のまま書きましたが、章によって主人公は異なり、それぞれが抱えた胸の内にあるものが、読者を魅了しています。誰に感情移入するかによって、作風が変わって見えてくるのも、この作品の魅力です。

 是非、御一読下さい!

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