「人生」といえるくらいの、明るく、楽しく、激しい…

 世の中に武道、格闘技は数あれど、人を引きつける要素はないか、という事を考えさせられる物語です。

 格闘技や武道が、スポーツと最も異なる点を、私は「人を殺したい」という動機で野球やサッカーを始める者はいないけれど、そういう理由で空手やボクシングを始める者は少ないけれどいる、という点と思っています。

 でも、そういう人が人を感動させる事は絶対になく、そのジャンルに「人生」を感じさせるくらいの人こそが、見る人を感動させるのだと思っています。

 そう考えるとプロレスという競技は、実にこの考え方に合致してくれます。

 この物語の主人公アトラス星野の行動に、私が持つプロレスラーの全てが詰まっていました。転生の切っ掛けがリング禍というのも、惹かれます。

 そして戦いも、その都度、命がけではあるものの、相手を殺したいと思って戦っている訳ではなく、「相手も強いが、自分も強い!」という意地をぶつけているような気がして、実にのめり込んでいってしまいます。

 モデルになっている人を知っていると、この惹かれ方が一際、強くなります。

 明るく、楽しく、激しい…と感じる事を並べていくと、ここにもやはりプロレスが。

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