第3話 ゴブリン狩り
――さて、どうしようか。
冒険者登録が済んだことで、これまでより魔物を狩ることの収益性が上がった。
これまでは魔物の素材分くらいしか収入にならなかったが、これからは討伐報酬が貰える。
討伐証明部位を持ち帰る手間は増えるが。
現在時刻は13:30。帰るには早く、パーティを探すには遅い時間だ。
――ま、どうせこの街の周辺のモンスターなんて弱いし、ソロでいいか。
俺はそう決めて、街を出て魔物が出現する森へ向かう。
ゴブリン。
この森に出現する危険度F級に指定されている魔物で、強さ自体は子供でも勝てる程度だが、ゴブリンの恐ろしさはその繁殖力と成長性だ。
一ヶ月経てば数が倍に増えるとされる繁殖力は、放置すれば大規模の災害を起こしかねない。
また、ゴブリンは他の魔物に比べて上位種への進化が発生しやすく、一度進化したゴブリンはF級冒険者かF級冒険者パーティと同等とされる。
ただまあ、街の周辺は高い頻度で狩られるのでそこまで繁殖することも、進化するまで育つことも滅多にないのだが。
――居た。
「――ギギィ!」
「ギィ!」
森に入ってしばらくすると、ゴブリンが見えた。
3匹居るがどれも上位種ではなさそうだ。大きさは俺の胸くらいまでしかなく、武器はスタンダードな棍棒である。
ゴブリン達も気付いたようで、こちらに向かって走ってきている。
――ザシュッ
先頭を走ったゴブリンに向かって、俺は剣を袈裟懸けに振るう。
ゴブリンの勢いも合わさって、その一撃は深々とゴブリンの肉を抉った。
「――ギィッ……!」
後ろに居たゴブリンが声を上げるが、こちらに迫る勢いは緩まない。
俺は倒れそうになった重傷のゴブリンの腹を蹴飛ばし、反動を利用して少し距離を取る。
後ろに居た2匹の内、片方は蹴飛ばされたゴブリンにぶつかる形で動きを止める。
こちらに向かってきているのは1匹となった。
俺はそいつに向かって、最初と同じように袈裟懸けに剣を振るった。
それは最初と同じくゴブリンの肉を深々と抉り、2匹目の重傷ゴブリンが完成した。
重傷ゴブリンとぶつかったゴブリンがこちらに来るまでにまだ猶予がありそうなので、目の前のゴブリンに止めをさす。
「――ギイイイ!!」
激昂したのか分からないが、唯一無事なゴブリンが声を荒げながらこちらに突進してくる。
棍棒を振りかぶっており、胴体ががら空きのため隙だらけだ。
俺はゴブリンに肉薄し、奴が棍棒を振りきるよりも先に、右の腹を切り裂きゴブリンの後方へ回る。
返す刃でゴブリンを袈裟斬りにし、その後止めを刺す。
倒れ込んでいた一匹目のゴブリンも虫の息だったので、しっかり止めを刺しておいた。
「久々のゴブリン狩りだったけど、割となんとかなるもんだな」
ゴブリンから素材と討伐証明部位である左耳を剥ぎ取りながらつぶやく。
これまではゴブリンから取れる素材はF級の魔石しかなく、大した収入にはならなかった。
剣の修繕費用を考えればトントンかギリ赤字くらいのレベル。
そのため積極的に魔物と戦うことはしてこなかった。
が、ようやく冒険者となったことで討伐報酬が加算されることになったことで、狩れば狩るほど稼げる状態になったと言える。
「まだ時間はあるし、しばらくゴブリン狩りと行くか!」
俺はそう決めてゴブリンを探し始めた。
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