第15話 美しい光景

全速力でアパートへと向かうと

外に、人影が見えた。


近づいてみると……

美玲さんだった。


どこか、ソワソワしている

美玲さんは、まるで誰かを待っているかの様子だった。



俺は……しばらく、その様子を

見ていた。


呼吸を整えて、俺は美玲さんの

元へと、ゆっくり歩み寄る。



美玲さんが……俺の気配に

気付くと、、、


『美玲さん?!どうした?』




『目が……目が……。』

そう言って、美玲さんはその場に

泣き崩れてしまった。



俺は……慌てて美玲さんを

抱き寄せると、美玲さんは安心したかの様で、


また話し始めた。



『わたしね!目が……見える

様になったの!!ひろしくん!


貴方の顔も、しっかり見えるわ!

わたしの目?一体どうしたん

だろ?』


俺は……美玲さんの頬に手を寄せて、撫でてみると

美玲さんは、ニコニコしていた。



『わたし……これで、もう

大丈夫よね?ねっ?』

美玲さんは、とてもはしゃいで

いた。


俺は……美玲さんに先程買った

ブーケを渡すと。


美玲さんは見たことのない

笑顔を俺に、見せた。



『素敵!ひろしくん!私の

為に……?』


俺は……照れ隠しに下を向くと


美玲さんが俺に抱き付いてきた。

俺が躊躇していると



美玲さんが話し始めた。



『今ね?下に降りてきて街並みを

見ていたわ。赤ちゃんを連れた

ママとも少し話したの!

赤ちゃん、とっても可愛かったよ!』


まるで、異世界に混じり込んだ

この世界を、始めて見るかの

様な感激の仕方だった。



『美玲さん、良かったな?

目が……見えるんだな?』



俺は……同時に美玲さんと

一緒に、居られる口実が無くなった事に哀しみを感じていた。


(俺は……俺は……日本へ

逆戻りか?)


(美玲さんと、離れ離れかよ?)



モデルデビューも間近な時に

美玲さんの回復だった。



マネージャーに聞かなきゃ。

イケねぇかな?


俺が、余りにも哀しい表情を

していたので、



美玲さんは首を傾げていた。







俺は……美玲さんと離れてしまうかもしれない不安や


色々な感情が……入り混じり





初めて、、美玲さんの前で





泣いてしまった……。






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