第2話 羞恥心

俺と阿久津、会場である

ドームに入場した。


目をあちこちに向けると、

どこもかしこも


【歌姫、吉川美玲降臨!!】

とデカデカとポスターが所狭し

と飾ってあった。


阿久津は会場の盛り上がる雰囲気に有頂天だったが、


俺は、吉川美玲姫との距離を

一気に感じていた。


『そりゃ、そうだよな。

俺は……美玲姫にも存在を知られていない、ただの一般ピープル

だからな。はぁ。』


せっかくの会場で、俺が少しだけ

元気を無くすと阿久津は



『ひろしちゃ~ん!?

どしたの?これから祭りだって

時にさぁ♡♡♡!!』


阿久津には、話しておこうか?


『実は、俺…………美玲さん

の事を……本気で好きなんだ。』



俺もだけど?』



俺達2人は、お互い顔を見合わせて、2人で馬鹿笑いした


阿久津が言った。

『吉川美玲姫は、神だよな?

カリスマ性がエグいもの。

なかなか、あんな女お目にかかれねーぜ?!誰でも惚れるよ!』



俺は……再び安堵して

『だよな~~吉川美玲は

女神だもんな~~♡♡♡』


阿久津と再び、意気投合して

美玲姫のグッズを買い求めていた



俺は……少しだけ恥ずかしかった


美玲姫のグッズは欲しい!

だけど、今の今までの気持ちを

あらわにするなんて。




阿久津は、最高の笑顔を見せて

美玲姫のグッズを

たくさん買い求めていた。




俺は……美玲姫のポスターに

美玲姫の目覚まし時計を

照れくさそうに購入した。


お金には、余力があったのだが

何故か、買えなかった。



美玲姫が俺らの事を

何処かで見てねぇ??!とか


とんちんかんな錯覚を起こす

程だった。



コンサートホールの中に入り、

俺達の席を探していると……


そこには、


《ようこそ!!美玲より♡♡》

と書いてあったから、一瞬

ドキッとした。


だが。その言葉が会場全体に

書いてある

という事に、すぐ気が付いた。




俺は阿久津と席に座ると

意外にも、ステージ近くの席

だと少しだけ、驚いた。


阿久津は、今か今かと

美玲姫を待ちわびながら興奮していた。



【ある意味……阿久津はすげぇ

よなぁ。割り切るなんて。俺には無理だな。はぁ~♡♡】



美玲姫とデートをしている妄想を

俺は……知らぬ間にしていた。



どれだけの時間、ぼけ~~♡と

鼻の下を伸ばしていたのか?


阿久津が、急に笑い出した。



『よぉ!?お前、芸能人に本気出すなや?!遠い雲の上の女神様

だぞ?目の保養って~やつさ♡』



『あぁ。そうだよな。』

返事は、したものの俺は……

どうしても美玲姫を我が物に

したかった。



でも……その考えが甘かったと

いうことに、



会場全体に広がるムードや

どれだけの凄い人気か?!



どれほどのカリスマか?!




彼女が歌姫で、俺は……ただの

高校生で、




だけど。。。。。




俺の心の中では一種の野望が

フツフツと湧き上がってきたのであった。




~吉川美玲姫を

    いつしか射止める!~




強く強く、願っていた瞬間!



カリスマ歌姫の吉川美玲の

コンサートが……




始まった!!!




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