第14話 気まずい気持ち

俺は、阿久津のアパートから

美玲さんのアパートまで歩いていた。


阿久津に道を聞いていたので

迷うこともなかった。


俺は美玲さんの顔を見るのが

とても、気まずくなり


一軒の花屋に寄ってみた。



『美玲さんを花に例えるなら。

どれにしよう……』


俺は、美玲さんに謝ろうと考えていた。花屋の店員に

身振り手振りと片言の英語で


《仲直りしたいから、どんな

花が良いか?》

と……店員に何となく俺の

言いたいことのニュアンスが

伝わったみたいだ……



花屋の店員は、満面の笑みで

花のブーケを作り出した。


花屋の店長だろうか?

手慣れた手つきで、みるみるうちに、可愛らしいブーケが

出来上がった。



『how much?』俺が聞くと、

店長らしき男性は、俺の肩を

バシバシ叩いて、爽やかに笑い声をあげていた。


『ノーノー。お兄っさーん

プロポーズ用だろ?ハハハ🎶』


花屋の店長さんらしき男性は

花代をとらなかった。


俺は、不思議に思い、

『What!?』と訪ねると、


俺が、美玲さんの恋人だと、雑誌に掲載されていて


美玲さんの日本での活躍ぶりが

ニュースになっていたそうだ。




『ええ?!……?』



【ホントは恋人でも何でも

ないんだけどな?】

美玲さんを抱き締めた空港での

一コマが……


フォーカスされていたのだった




異国の地で、俺の知らぬ間に

美玲さんの恋人。



そう、誤解されていたのだった。



俺的には、複雑だな?

(嬉しい様な。驚いて何も説明

できねぇ。)


花屋の店長さんは、

『まーた、来て下さいねぇ』


と俺に、出来上がったブーケを

渡してきた。


幾ら何でも、と俺は遠慮する

店長に無理矢理チップを幾らか

渡した。


(良かったぁ。財布あって。

ふぅ……。)




『さ!美玲さんのところへ

帰るとするべ。あーもぅ。』



俺は、ブーケを持って

走り出した。




『美玲さん、待ってろよ!』





悩みが……頭の中に湧き上がっては、

走る事で、掻き消していた。





俺は……静かな野望を

抱いていた。




になってみせる!!!』




俺は……全速力で

美玲さんの待つアパートへと


走り続けていた。






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