第13話 偶然の再会

俺は……カフェテリアで

阿久津と偶然にも出逢えた。


『あ……阿久津?』


阿久津は、俺の存在に気が付くと……

いつもの笑顔を見せて



と明るく答えた。


阿久津は……俺の隣に美玲さんが居ない事に気が付き、




今さらながらも気が付く。



美玲さんと阿久津は……

』と呼び合う仲なんだと。



俺は……

『知るかよ。あんなヤツ!』


と一言、すねた様に話すと


その瞬間、阿久津が大笑いし

だした。

俺は……阿久津の方を

クエスチョンマークの様な顔で見ると……



なんかあったろ?』

と阿久津は言う。



阿久津から話を聞けば聞くほどに

美玲さんと、阿久津の仲が

うかがえる。



三角関係にもならない……

ただ俺は……部外者なんだと


阿久津の言葉に思い知らされる。



阿久津は……日本に居る時に

あんなに美玲姫の事を、

嫌っていた妹が……


『行ってきて!!気持ちを

ハッキリさせておいでよ?』


と説得されたそうだ。



阿久津は、女性に対して

年齢に、そぐわずとても紳士的な

態度なので



ホントに女性受けが…良いのだ。



阿久津なりに、

妹と何かあったのだろう。



阿久津が

『服くらい、着替えろよ!笑

せっかくの色男が台無しだぜ?』


ととびきりの笑顔を

俺に投げかける。





『阿久津、お前何してんだ?』



『ちょっとな?ハハッ……』



阿久津はカフェテリアで

お茶代を支払うと……直ぐそばの

アパートに俺を招いた。



阿久津に、着替えを借りるために

俺は……阿久津のアパートに

お邪魔すると……






誰か、分からない女性が……

阿久津と同棲状態だった。



阿久津は……俺にウインクした。



『俺の、新しい恋人なんだ。』


『は?!……えっ??!』





その女性は、何処となく美玲さんに雰囲気が似ていたが



美玲さんよりも優しさが

溢れていた。まるで阿久津に

たくさん愛されて幸せいっぱいという感じだろうか?



阿久津は……話を始めた。




『俺は……美玲の事、ずっと

思ってた。けどな……世の中には

叶わない恋も、多く存在するんだよな……?

俺は……すっぱり美玲を

諦めてたんだ。その時、俺は

悩んだよ。この先、どうすんだって。笑

だけどな?貫くにはそれなりの

覚悟が要るんだ。

お前なら、大丈夫だろうな。』





俺は……阿久津の話に聞き入りながらも、阿久津の同棲相手を

度々、様子を見る。



二人に取っては、一緒にいるのが当たり前だと、

そんな空気感が……流れていた。



『阿久津は……何しに来たんだよ?!』


『俺……?俺は……忘れに

来たのかも、しんねーな。笑』




阿久津は……遠い目をして

思い出を振り返っていた様子だった。







『仲直りするんだぞ!ハハッ』




阿久津のアパートを後にする頃には、




土砂降りの雨も、やんでいた。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る