第16話 離れ離れ?

俺があまりにも、悔し涙を

流していたので。美玲さんは


俺の背中を、《ポンポン》と

優しく叩いてくれた。


その美玲さんの優しい行為さえ

今の俺にとっては

深い哀しみでしかなかった。


その場で、俺は阿久津に携帯で

連絡を取ると、


阿久津はワンコールで

出てくれた。





俺の涙声に阿久津が……

気が付くと阿久津の声色が変わった。


俺は……阿久津に

頼むしか、方法は見当たらなかった。







『ひろし、お前はそれで

良いのか?違うだろ?』


『俺には……もう。無理だよ。』



『どうした?ひろし。お前らしくないぞ。』



『俺は……帰国する。』



『お前、いきなりどうした?』




『美玲が……美玲さんが……


目が……見える様に……ッッく』



『…………』



阿久津は、ただただ

俺の気持ちを聞いてくれていた。



側には、美玲さんが……

複雑そうな表情をして阿久津の

声に、耳を傾けていた。



『美玲が…………美玲が……』


『ひろし、今からそっち行くわ!』と阿久津が俺の異変に


急遽、こちらに、向かってくるらしい。

俺と美玲さんは、道路に座り込みながらも



ただ泣き続けていた。


美玲さんは、困った様子で、

ずっと俺の背中を

《ポンポン》としてくれてた。





涙が枯れ果てた頃に、

1台のフェラーリが猛スピードで


こちらに近づいて来る。



スピンしたかと思うと、

フェラーリは急ブレーキを

かけた。




そこには、阿久津が……



俺の為に……駆け付けてくれた

のだった。フェラーリの運転席

には、



阿久津の恋人が……いた。



阿久津の恋人を初めて見る美玲は




ショックを隠せない表情を

していた。






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