第8話 頭痛
俺は、阿久津の言葉が……
信じられなかった。
頭がショックを受け入れられなくて……どんどんと俺は
気分が悪くなってきた。
阿久津は唯一の親友だったはず。
なのに!!?
こんな事を隠していたのか?!
俺は、怒りよりも阿久津の胸の
苦しさを思い、涙がこぼれた。
マネージャーは……全てを
知っていたのか?!!
俺はまるで、ピエロじゃないか!!
ふざけんな!!
親友が……俺の大好きな人の
元彼という真実を知ったとき
色々と考えが……巡っていた。
恋人同士と言えば、
デートしたり。
手を繋いだり。
夜まで喋ったり。
そして……キス?!
キス以上の関係も、考えて
しまっていた。
阿久津!!!!お前は?!
なんで??!
顔色が悪くなる一方で……
俺は、マネージャーに促され
機内に乗った。
今後、美玲さんの顔を見ても
素直に喜べはしないだろう。
全く、先の見えない吉川美玲の
付き人的な役割をしなくては
ならないのだ。
しかも。モデルデビューとは。
阿久津さえ、居てくれれば。
でも……美玲さんの元彼だし。
俺だけ。蚊帳の外かよ!!?
何だったんだよ!あのコンサートの夜は……。
元カノに逢いに行く元彼?!!
逢いに行くなら
お互いが……?まだ……。
気持ちが残っているのか?!
『美玲さん』
俺は、好きになっちゃ、いけなかったのか!!?
涙がどんどんとこぼれる。
機内食も食べる気すら起きずに
俺は、美玲さんが待つ
ニューヨークまで、一睡も出来なかった。
アナウンスが……流れる。
もうすぐ到着だ!
阿久津!!お前、、、。
今度は俺が……美玲を守る
複雑な感情が……入り混じる中で、阿久津に対しての
同情やら。今後起こるであろう
美玲さんとの、複雑な関係を
色々な方向で……考えていた。
目的地のニューヨークに
着いた時には、美玲さんが……
阿久津の姿が無い事に
安心した様な、寂しい様な
複雑な心情をしていた。
だが、美玲さんは俺に優しかった。
『ありがとう。河上君!!
これからも、よろしく!!』
美玲さんは……突発性視力障害
と言えども、
明るく振る舞ってくれた。
美玲さんが……片手を出す。
『握手しようよ!!』
目が見えないのに、美玲さんは
笑顔を見せる。
その無邪気な態度に……
美玲さんの差し出した手を
強く引っ張って……
パパラッチなんて。
くそ食らえ!!!!!
思いきり抱き寄せて……
美玲さんの体を強く抱き締めた。
美玲さんが苦しそうな表情を浮かべていたが。
俺は…………
『俺に従えよな。』
と……つい口から出てしまった。
異国の地での初めての対面は
ドラマチックでも何でもなくて
ただ、ただ切なくて
苦しかった…………。
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