第7話 苦しい言い訳

大きな運命の渦に巻き込まれた

俺と阿久津は……


職員室でぼーぜんとしていた。

阿久津が、自宅に電話しようとするが。。。。


なぜか、担任教師に止められた。

阿久津は担任を睨んだ。


『……内密事項なんだ。私が

君達のご両親に、話をしに行こう。』



その夜……物々しい雰囲気の中

阿久津の家に、俺の両親と

阿久津の家族が全員集合した。



重苦しい雰囲気の中……

担任が、第一声を放った。



『……実は……』


担任が話を進めていくほどに、

阿久津の妹は、泣き出して

『お兄ちゃんと離れるのはイヤ!!』


と……リビングを出ていってしまった。阿久津はとても

苦しそうな表情を浮かべていた。



反対に、俺の両親は、

阿久津の家族には悪いが……


『こんなチャンス!滅多に無いわ!!』

と、父親も、母親も鼻息を荒くしていた。


『俺に決定権は……ねぇのかよ?』


前のめりになる、俺の両親を尻目に、俺は美玲姫のことを

考えると複雑な気持ちだった。



だけど、千載一遇のチャンスだぞ!!と、父親は最もらしい事を理由づける。



阿久津の方を見てみると、

その表情は、絶望していた。



俺は、阿久津が心配になった。



俺達は……まだ、若干16歳だ。

結婚も、親の同意があれば出来る年齢だ。だけど今回の問題は、


結婚ではなく、要は

使いっ走りであり、護衛的な

ものなのだから。



担任教師が、一通り話を終えると


阿久津は……ぼそっと答えた。



まるで、勝手にしろ!とでも

言わんばかりの態度だった。



俺は、阿久津には悪いが……




と、阿久津の答えと大きな差が

出てきた。


阿久津には、俺の知らない問題が

あるのだろう。



担任から、飛行機のチケットを

それぞれ渡された。




俺達2人に今後待ち受ける大問題は……俺達2人で解決しないと

いけなくなる。



その晩は、重々しい空気の中

味気ない、頼んだ寿司を


みんなでつまんでいた。



誰も……美味しい。とも言わなかった。ただ、ただ息子との

突然の別れに、


阿久津の両親は……すすり泣いていた。






そして……時が経ち。



出発の時刻が押し迫っていた!




空港の中で……阿久津と俺は

待ち合わせたが。



阿久津の姿が見当たらなかった。


俺は阿久津のスマホに何度か

着信を入れてみたが……


最後まで、阿久津は

電話に、出なかった……。



吉川美玲のマネージャーが

『これ以上、待つのは無理だ。』





その時!!

阿久津から着信があった!



俺は慌てて電話に出ると。



『なっ……何言ってんだよ!!

阿久津!!どうすんだよ!!』








次に阿久津が吐いた言葉を、

俺は信じられない気持ちで……

聞いていた。






『《《美玲姫の元彼は……

    俺なんだよ!!!》》』






『…………?!!!!えッ!』





マネージャーが俺を急かす。

『さぁ、早く!!!河上君!』




阿久津と美玲さんが……?!






事情を飲み込めずに居た俺は

頭を鈍器で……殴られたような

ショックがあった。




こんな気持ちのままで……

出発するのか!!!




阿久津は……最後に



スマンな。と一言言うと、

スマホを一方的にブチッと切ったのだった。






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