慌ただしい朝を乗り越えてきた主人公に、その雨が届けてくれたものは……?

 この物語の主人公、朝から慌ただしい時間を過ごしてきた。
 自身がちょっと寝坊した時に限って、娘もなかなか起きず、息子はご機嫌斜めで服を着せてくれと駄々をこねる。
 そんなバタバタの所為で、娘に傘を持たせるのを忘れてしまう。

 雨は憂鬱と思っていた主人公に、職場の先輩から、素敵な一言が……。雨の日だからこそ見える、子どもたちの違った一面があるのだと言う。
 息子のお迎えを済ませ、娘を迎えに行こうと、普段は車で向かうのだが、この日は傘を手に取った。

 雨の中、子どもたちが見せる子どもごころが、この物語を読む者のこころを暖かくしてくれるかもしれない。
 お母さんは、ちょっとだけ置き去りにしてきてしまった、子どもへの愛情を取り戻せるかもしれない。

 こころ暖まる物語……って、こういうことなのだと思う。
 わたしは、この子どもたちが、ちょっとだけ羨ましいと思えた。