雨の日は憂鬱?――いいえ。素敵な景色と思い出に満たされる日です。

 主人公は主婦の「私」。一人称で語られます。
 その日は予報が雨だったにも拘わらず、小学1年生の娘に傘を持たせるのを忘れてしまいます。車で迎えに行こうと思いますが、昔祖母が傘を持って迎えに来てくれたことを思い出し、小さな息子と一緒に歩いて行くことにするのです。

 憂鬱になりがちな雨の日ですが、子どもたちにとって、その世界はきれいなものや興味が沸くもので溢れています。その様子を見ていた「私」は、大人になって忘れていた雨の日には素敵な景色があったことを、思い出すのです。

 また、傘を持って迎えに来てくれた祖母との思い出も、この作品の中では重要な意味があります。読めばきっと、「ちょっと大変だな」とか、「ちょっと辛いな」と思う気持ちに、雨上がりの空のような光を差し込んでくれることでしょう。

 雨の日の優しいお話。気になる方は読んでみてはいかがでしょうか。