失恋生活四日目

 私は無人島で夜を明かして目が覚めると無人島の散策に出かけた。ちょっと内部に足を踏み入れると島は深いジャングルだった。


 右を見れば大木、左を見ても大木。上を見れば大木、周囲は木々で生い茂っていた。


 初日に軽く一周して見たけど、それは外観を確認したのみ。島の内側は全く調査をしていなかった。


 島に漂流してとりあえず飢えは凌いだけど、それでも食料が欲しい。出来ることなら定期的に手に入る食料が望ましい。


 そして何よりも水だ。


 それに昨日は砂浜で寝たけど、出来ればベッドが欲しいし住居があれば尚よし。


 お風呂だって入りたいし、歯も磨きたい。


 出来ることなら原宿にだっていきたい。まあ、その解消はすぐには無理か。何年かかけて偶然イケメンの男が漂流してきて、その人と結ばれて子供を作って。



 そしてこの無人島に文明を築いて街に発展させるの。文明の名前は『はるちゃん文明』とかが良いわね。


 そのうち教科書とかに載るならバエる方が絶対にいい!!


 そうすれば原宿とか渋谷とか、街なんて作りたい放題。



 ヒャッハー!! 私の人生って薔薇色!? 山手線も作って原宿から徒歩一分の立地に一軒家を建てて平和に暮らすの。



 出来ればイケメン男は年収で一千万以上稼いでくれる人がベスト、そしてミケランジェロこと猫のミケを家族として大切に扱って欲しいわ。



「にゃー」

「ミケ? 獲物がいるの?」

「にゃーにゃにゃー」



 私が未来に夢を膨らませているとミケが何かを発見したようで、鳴き声で教えてくれた。ミケが私が担ぐ鞄からひょっこりと首だけ出して鳴き声を上げてきた。


 この子はとても頭が良い。私が探し物の特徴を教えるだけで優秀なレーダーになってくれる。


 そして目の前にはヘビ、それも超巨大なヘビがいる。彼は私を見るなり一目散に逃げようとするのだ。



 ヘビにまでフラれた気分になるから、それだけは絶対に阻止だ。



 何よりもヘビは貴重な食料、重要なタンパク源。私は目の前に現れた獲物を絶対に逃すまいと剣を走らせた。


 これはママが去年の誕生日にくれた『斬◯剣』で、とにかく切れ味が良くて重宝している。


 念のために鞄の中に詰め込んでおいて正解だった。昨日も鳥を捌くのに活躍してくれました。まあ、私の握力があれば素手で引きちぎれるんだけどね。



 私は右手に斬◯剣を握りしめてヘビに斬りかかった。



「とあーーーーーーー!! カロリーメイトーーーーーーー!!」



 ちょっとよく分からない掛け声と共にマッハの動きで見事にヘビをなます斬りにしてやった。このヘビ、全長で9メートルはあるかな?


 凄く食べがいがありそうで私が思わずヨダレを垂らす。だけど食欲全開の私は足場がよく見えておらず、何と目の前は崖だったのだ。


 周囲の木々が足場まで隠しており、私は倒したヘビと一緒に崖から一気に転落してしまったのだ。自分でも状況が今一理解出来ておらず、私は可愛く悲鳴を上げながら落下していった。



「きゃーーーーーーーーーー!! あーああーーーーーーーーー!!」



 後半の悲鳴はジャングルと良く映える、映える。



 そして何事も無かったかのようにシュタッと着地を決めて一緒に落下してきたミケをキャッチした。



 ナイスキャッチならぬナイスキャット!!



「にゃ!!」

「イエイ!!」



 私とミケはハイタッチをして無事を確認し合う。


 そして落下した崖の下が私の追い求めるもの、その二だと知って一人と一匹で再びのハイタッチをすることになった。



「うーーーーーわーーーーーー!! 水場だーーーーーーー!! あーああーーーーーーーー!!」

「にゃ!! にゃーにゃにゃーーーーーーー!!」




 そこは何と楽園とでも表現出来そうな美しい水場でゾウやカバなどが既に先客として水浴びをしていた。


 私は本日、無人島で生き残るための食糧と飲料水を確保することが出来たのだった。

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