失恋生活十三日目
「アホ毛カッター・ゼクス!!」
私は頭からアホ毛を六本脱着させて、マンモスに向かって投げた。だけどマンモスの皮膚が思った以上に硬くて簡単に跳ね返されちゃました。
キンキンと虚しい音を上げてアホ毛カッターが地面に転がっていく。
「私の大事なアホ毛がーーーーーーーー!!」
「にゃにゃーーーーー!!」
慌てふためく私を置いてきぼりにして今度はミケがもの凄いスピードで突進していく。まるで推進エンジンでも搭載しているかのように地面と並行に飛んでマンモスに突進していくのだ。
つまり『アレ』です、某格闘ゲームに登場する相撲レスラーの代名詞とも言える頭突き系の必殺技です。
ミケはアレを『猫まっしぐら』と命名しているけど、完全に飛翔する頭突きです。だけどミケはいい仕事をしてくれた。
頭突きの勢いでマンモスたちが悲鳴をあげて後方へよろけだしたのだ。
「「「レレレーーーーーーーーーーー!!」」」
え!? マンモスの鳴き声って『レレレ』だったの!?
ブッは!! これも完全にツボよ!!
「アヒャヒャヒャヒャヒャ!! マンモスっておじさんですかーーーーーー!? 箒はどこかに落としちゃったのーーーーーー!? お出かけですかーーーーー!?」
「にゃにゃにゃにゃーーーーーーー!!」
私とミケは喧嘩したことなどマンモスの鳴き声によってかき消されてしまい、一緒になって笑ってしまった。ティラノサウルスと同じように地面を転げ回って大笑いしてしまったのだ。
まあ、当然だけどマンモスは怒る訳で。
私とミケはマンモスたちの反応に気付いて咄嗟に起き上がって対応を急いだ。ミケが地面に寝転がって、足で私を空中に発射する。
言っとくけど『寝転がる』だからね? 『猫ろがる』じゃないのよ?
そして私はどこぞの有名サッカー漫画の必殺技のように上空に到達した。だけどアホ毛カッターが効かなかったのよね?
適当にカッコつけて飛んだはいいけどここからは完全にノープランです。
ここからどうしよう? 私は落下しながらあぐらを掻いてウンウンと思案を開始した。ここでマンモスの硬い皮膚を攻略する方法を検証してみよう。
その一、リ◯ィアをパーティの後衛に配置してケアルラで回復する。
却下、アレは名作RPGファイナルなんとか4に登場するモンスター『オク◯マンモス』の攻略方法の話だから。現実のマンモスはサンダーが弱点じゃないのよ!!
そもそも読んでくれてる読者様が話について来れない。
そのニ、氷河期を待つ。
却下、私もタイムトラベルで一度だけ行ったことあるけど、あれはダメね。もの凄く寒かった。セーラー服だけじゃ耐えられません!!
ミケもコタツがないから我慢出来ないだろうし。猫はコタツで丸くなるのよ!!
その三、バッ◯ァローマンをここに呼ぶ。
却下、アレは某有名超人レスリングの話だから。そもそもマ◯モスマンは既に真剣勝負の素晴らしさに目覚めてるじゃない。
今の彼は知性と獣性を併せ持った素晴らしいレスラーなのよ!!
そもそもそんな必要なんてないのよ!!
……あれ? 私って何を考えてたんだっけ?
「「「レレレーーーーーーーーー!!」」」
あ、思い出した。マンモスを倒す方法を考えてたんだった。仕方ない、あれで行きますか。ここは一つ、一度はマンモスの硬さに屈したアホ毛カッターを強化してもう一度だけ挑むとしましょう。
私はアホ毛カッターを両手に持って集中を深めていった。そしてこれまた超有名横スクロール式ロボットアクションゲームのように『タメ撃ち』の準備を終えると、私はアホ毛カッターをマンモスに向かって放ったのだった。
そうです、『アレ』です。
全身青いタイツに身を包んでスライディングとかジャンプとかしたりするアレ。八体のボスステージの攻略に躍起になる某有名ロボットのアレ。
ウイイイイーーーーーー……ン、とタメの音が耳元に聞こえてくる。
「ハルちゃんバスターーーーーーーー!!」
上空からのバスター攻撃を予期出来なかったマンモスが一斉に慌てだしてます。光を帯びたアホ毛カッターが地上に向かってぐんぐんと進んでいく。
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