失恋生活七日目
「おっとつあんのためならエンヤコイサッサ」
「にゃにゃにゃにゃにゃっにゃ」
私とミケは仕留めた蜘蛛から糸を入手して、砂浜まで戻っていた。
ふふふ、私は裁縫だってお手の物なんだから。蜘蛛の糸を使って私はベッドの作成に取り掛かっていた。木材が無限に手に入って葉っぱもそこいらで入手可能。
そこに糸が手に入ればやることは一つ!!
無人島生活を豊かなものにすべくベッドを作るのは当たり前、あたり前田のクラッカー。そんな浮かれた気持ちで私は糸を編み込んでます。
「ふふふ、私はタイムトラベルで富岡製糸場でパートの経験を積んできたのよ」
一応の経験者である私は初心者のミケに「製糸業舐めんな!!」と口頭で注意をしながら作業に没頭する。注意をされたミケも「にゃー……」と鳴きながら落ち込みつつも作業を進めていた。
なんだって? 猫使いが荒いって?
ヤレヤレ、本当にヤレヤレだぜ。
だけどミケは愚痴をこぼしながらも順調に全ての作業を終わらせて「にゃー」と呟いてポンポンと肉球で肩を叩き出した。まるでどこぞのお婆ちゃんのように。
でもねミケ、作業はまだ終わりじゃないの。
「ミケ、本番はここからよ!!」
「にゃにゃーー!?」
ミケだって私がこれで終わる女だなんて思ってないくせに、またしてもシェー!! のポーズをしながら驚いてる。
どうやら私が鞄の中から取り出したものにビックリしたみたいね。ふふふ、こんなこともあろうかと私はコレをカバンの中に突っ込んでおいたのよ!!
「ティッティリー!! 洗濯機ーーーーーーー!!」
ベッド完成への道のりに必要なもの、それは羽毛!! まずは汚れた羽毛を洗濯機で洗おうと思います。
これを使って鳥から入手した羽と巨大ヘビの皮膚に糸を加えて羽毛布団を作るのだ!!
それが出来ればベッドと合わせて安眠だって夢じゃない、一気に無人島生活は生活水準が跳ね上がる。
「……にゃ、にゃにゃー」
「え? ミケったらどうしたの?」
今度はミケの方がヤレヤレだぜ、と言った感じで私の肩にポンと手を置いてきた。そしてミケは猫なのに呆れたようなジェスチャーをしながら、私の考えが如何に甘いかを説いてきた。
つまり電気はどうするのか? とミケは心配してるわけだ。
完全に忘れてました。……すいません。ああ、なんか電気にすらもフラれた気分になっちゃった。
凹むわー。
だけど私は思い出したのだ。そう言えば、こう言う時のために鞄に詰め込んであったものが……。
「えー……っと、……あった!! ティッティリー!! 自家発電機ーーーーーー!!」
「にゃにゃーーーーー!?」
それもソーラーチャージャー機能搭載の優れもの。
これは入学祝いにママから貰ったもので、某国大統領の暗殺に重宝しました。現場でお腹が減った時にこれでお湯を沸かしてカップラーメンを食べたのよねー。
暗殺された大統領の苦痛に塗れた表情をシミジミと思い出しちゃうわー。
因みに私の弟がチョチョイと改造を施しくれたので、市販の発電機より発電も蓄電も桁外れに安定してます。
私の弟って天才なのにバカで、お姉ちゃん子なのよねー。
おっと、ヤベー。
危うくショタの世界に浸るところだった。それも血の繋がった実の弟にショタを求めるとは私もお姉ちゃん検定一級保持者なのだから気を付けねば。
さてと、じゃあそれはキッパリと忘れましょう。
それと早速だけど洗濯機に発電機を接続して、羽毛を洗いましょう。
鳥の羽は雑菌や細菌の巣窟だから。そうなったらまずは洗うしかない訳で、女子高生ともあろう私が雑菌まみれの布団で寝るわけにはいかないから。
女子高生は世界で唯一のブランドだから。女子高生は世界で一番モテる時期なのよ。
そんな私が羽毛の雑菌とかで汚されていい訳がない。
こうして私とミケは洗濯機に纏めた羽毛を入れるとポチッと洗濯機のスタートボタンを押した。夢見るはベッドでの安眠。
私とミケはゴウンゴウンと動き出す洗濯機の横でベッド作成の仕上げに取り掛かるのだった。
ズシンズシンと魔の手が近づいているとも梅雨知らず。
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