弁護士として働く櫻子。
彼女には彼女を支えてくれるたくさんの人々がいて、素敵な同居人ともうまくやっていた。
しかし、櫻子には懸念が一つ。
幼い頃、突然姿を消した血の繋がらない兄の存在があった。
彼は事実婚した母のパートナーが連れて来た、美しい少年。
ジオンという名を持つ彼を、幼い櫻子は慕っていた。
ある時、櫻子に仕事が舞い込む。
それが後々、彼女の運命を変えかねない大きな事件へと発展していくなどと思うことすらなかった……
危険であり、美しい物語。
暴力的だが、魅了される物語。
たった一人の男の背中を追い、櫻子は異国へと飛ぶ。
暴力描写の苦手な方にはお勧めできませんが、一人の女性の懸命に戦う姿を是非。
これは、言葉で表すとしたら、【勢いのある作品】だと思う。
この作品は一話目、二話目と読んでいくと、どんどんと次へ次へと進みたくなっていく。
これこそ、勢いというものと、作者さんの組み立て方がいかに素晴らしいかを物語っているようにも思え、読むたびに引き起こされる感情移入も読み進めることを掻きたてる一因ではなかろうか。
ストーリーは、弁護士をしている櫻子の元に連絡が入るところから物語は進んでいく。
十代という多感なお年頃の櫻子の人生の中に現れた兄。そんな兄への淡い恋心を秘めながら共に生きる彼女。
その人生の中から突如兄は行方を晦まし、櫻子も残った家族と共に逃げるように引越しをする。十九年という月日が経ち、恋心と共に消えた兄が忘れた頃に現れる。
海外で、身元不明の死体として。
彼女とともに、兄の死と兄が何者なのかを知るにつれて、櫻子は不可解なミステリーへと巻き込まれ、そしてそれを読む読者は引き込まれていくこと間違いなし。
さあ、彼女とともに、兄の真相を、追ってみてはいかが?
でも私、これはミステリー寄りのラブロマンスではないかと思ってます。家族愛と男女の愛、彼女はどこへ行き着くのか。
その辺りも読者様方がどう感じるか、どう感じたのかを、応援コメントからも楽しめるのではないかな、と。
作品に楽しめて、応援コメントでも楽しめる。
一挙三得みたいな。(一得どこいったんだろう)
本作者の作品は、本作品に限らずいずれも感情移入と起伏を起こさせるスパイスの効いた作品なので、本作品で興味が出たら、他の作品も是非に。
主人公櫻子は35歳の女性。職業は弁護士。
彼女にはかつて兄がいた。十代の多感なころ、突如家にやってきた血のつながらない兄ジオン。彼は知的で美しく、いつも超然としていた。そのくせ暴力に躊躇することもない。すくなからず常識の枠の外にいる義兄であった。
だが、やがて彼は姿を消す。そして、19年後、アメリカのデトロイトで溺死体となって発見されるのだ。それと前後して、主人公の周囲ではおかしな事件が起き始め……。
櫻子は、兄の死を知り、取るものもとりあえず国際線に飛び乗ってしまうのだが、そこからが恐怖のはじまりだった。つぎつぎと巻き起こる謎。降りかかる暴力。義兄の死の真相とはなんなのか? 彼が連続殺人犯であるというのは本当なのか?
めくるめくサスペンスの連続に息もつけない展開が続き、最後まで読者を飽きさせません。
作中のセリフに、「逃げるときは、決して後ろを振り向くな。前だけ向いて走れ」とあります。これが本作のひとつのテーマとなっています。
じっさいには逃げるときに重要なのは、追跡者の目をくらませることです。が、本作のキャラクターたちは、良くも悪くもまっすぐ全力で走る。そのまっすぐなところが交錯し、衝突を生む。そんなキャラクターのまっすぐさと裏腹に、つぎつぎと展開するサスペンスの妙。
暴力と陰謀、深い歴史の闇を湛えつつも、どこか潔いすがすがしさがある本作。それは逃げるときでも全力で、まっすぐ走るキャラクターたちの魅力あってのことかもしれません。
緊迫の糸が最後まで切れないサスペンス・ミステリー。楽しく読ませていただきました。
横溝正史賞、入選することを願っています。
子どもの頃、家族に加わった義理の兄。しかしある日忽然と姿を消した。
それから十数年が経過し、義兄はデトロイトで溺死体として発見される。
本当にあの義兄なのだろうか。櫻子はそれを確かめようと検視に立ち会うため、そして遺骨を引き取るためにデトロイトへと飛んだ。
そこから始まる出来事は非日常を感じさせる、まったくの未知なる世界だった。
はたして溺死体は義兄だったのか。なぜ変質者は川から溺死体を引き上げたのか。
背後にうごめく謎の組織。魔の手は櫻子にも及ぼうとしていた。
上質な文章で丹念に描く、サスペンスあふれるミステリ小説。
あなたはエピローグでなにを感じるでしょうか。
こういった小説ってあんまり読んだことがなかったのですが、拝見させて頂き、とても面白かったです。参考にもなりました。
どんでん返しなところがちりばめられており、人を信用しすぎるのも良くないのかもしれないと思えました。
なんだか優等生のキャラが陰で番長やっているみたいな……。
最後の方も、意外な展開が続き、そうなる!? と内心叫んでいました。
兄との関係も気になるところですが、そこに落ち着くんだ、と腑に落ちた感じがします。特別ではなくなったのかも。
記憶が定かではないのですが、主人公の「70億人の中の一人にこだわるなんて」というのは自分の戒めでもあったのかな、と勝手に想像しました。
最初は冷めているイメージのあった彼女も、中身を見てみればやっぱり熱を持った人間なんだな、と。
そう言った人、けっこういると思います。
うまくまとまっており、話の齟齬もなく、スムーズに読めたのもポイント高いです。
18歳でわたしの前から消えた兄が、19年後、米国のデトロイト川で溺死体として発見される。
そこから始まる不可解な事件。
信じていた人、それはないと思ってたことがいくつも覆されていく(なんて言ったらネタバレになるのか!?)な、ストーリー!
誰がどうなのか、誰を信じていいのか全く不明な世界で、繰り広げられるミステリー。
書籍本で読むような、そんな上質なミステリーを堪能できます。私は毎日新作でおっかけましたが、完結後なら一気読みも!
一気読みの面白さは、連載とは違いますよね。
ラストのエピローグは泣きました。
だって、そこに向かうまでのストーリーがあったから。
今時のラスト読んで、面白そうなら読もっかな、なんてもったいない!な作品です!ドキドキ、どうなるの?!って言いながら次の話、次の話って追いかける楽しみがある作品です!
もうですね、超超おすすめです!
私は夕飯時の毎日更新を楽しみにしすぎていて、ただいま、彷徨える王ロスかもしれません。いいや、エピローグを胸に噛み締めて、味わっているナウです。
本当に、心に染みいる作品を拝読させていただき、作者様には感謝でいっぱいです!
日本で弁護士として働く黒城櫻子。
彼女のもとへ、ある日、19年前に行方不明になった兄・ジオンがデトロイトで溺死体となって発見されたという知らせが届く。
兄の死を確認するため、櫻子は単身デトロイトへ。
そこで彼女を待ち受けていたものは――。
作者様の確かな筆致に心地よく身をゆだねているうちに、どんどんと深みにハマっていく物語です。
ヒロインの櫻子さんをはじめ、どんどん出てくる個性的で魅力的な登場人物。調べれば調べるほど深まっていく謎は、国を超え、時間を超え、さまざまな人物の運命を巻き込み、そして――。
作者様渾身のラストを、ぜひお読みになって味わってください(*´▽`*)
主人公・黒城櫻子は、複雑な家庭環境で育っています。
優しくおおらかな母。母が事実婚をした義父。その義父が香港からつれてきた飛び抜けて美しく神秘的な兄・白川ジオンの四人家族です。
だからといって捻くれているわけではなく、とても純粋で人を信じやすい性格です。
そんな櫻子さんは、現在弁護士。
同じ事務所の先輩弁護士・五月端さんと同棲中であり、幸せな生活を送っています。
しかし結婚には踏み切れていません。
それは血の繋がらない兄への想いが、未だ色褪せず残っているからなのでした。
そんな櫻子さんの心を試すように、兄がデトロイト川で溺死体として発見されたとの知らせを受けます。
始まりから謎が謎を呼びます。
ただの依頼人かと思いきや、それが事件への幕開けでもありと、読者は櫻子さんと共に翻弄され続けます。
そして徐々に明らかになる、兄の生きてきた世界。
それを知り、櫻子さんはどう動くのでしょうか?
こちらは是非、本編をお読み下さい。
きっと想像していなかった展開を味わえますよ。
櫻子さんは無鉄砲でもあるのですが、ここぞという時の冷静さがとてもかっこいい女性です。
彼女の葛藤や、ピンチが訪れた時に浮かぶ言葉なども読み応えがあります。
そして、様々な愛を感じられる作品でもあります。
愛があったからこそ、全てが今に繋がった。
忌まわしい運命すら変えて、望む道を歩き出す事ができる。
そんな優しさと力強さを感じさせてくれる作品でもあります。
どうぞ皆様も、想いが交錯するこの世界をお楽しみ下さい。
米国デトロイトで発見された、男性の遺体。
弁護士、黒城櫻子の元に掛かってきた、国際警察からの電話。
それは米国デトロイトで男性の水死体が発見され、それが生き別れになっていた、兄の可能性があるというもの。
兄と言っても、血の繋がりはありません。
十二歳の時初めて出会った、一つ歳上の男性が、義兄のジオンです。
美しく、独特の雰囲気を持つ彼に、ただの家族とは違う感情を抱いていた櫻子。
義兄妹の恋愛展開になるかとドキドキしましたけど、話はそんな甘酸っぱい方向へは進んでくれません。
ジオンとは長年、連絡を取れずにいたのですが、警察の捜査によると彼の周りでは不審死が相次いでいたと言う。
それはジオンと離ればなれになる前、一緒に暮らしていた時も。そして出会う以前にも、不審な死がついて回っていたのだとか。
ジオンはいったい何者なのか。
家族であり特別な存在であった彼が本当に死んだのか確かめるため、単身デトロイトへと向かった櫻子は、だんだんと逃れられない事件に巻き込まれていく。
デトロイトと言ったら、アメリカで一番危険とも言われている都市です。そんな所に曰く付きの男の死を確かめるために向かって、大丈夫かと思うでしょう。
大丈夫なはずがありません!
ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けませんけど、全部読み終わった後思い返してみれば、危険の連続でした。
迫力のある文章が、起こる事件の不気味さと危険な雰囲気をよく描いていて、一話一話読むたびに、物語の世界に呑み込まれていきました。
危険を承知で、兄の影を追い続ける櫻子。
はたしてジオンの秘密を解き明かし、無事日本に帰れるでしょうか。
弁護士として働く櫻子には、かつて血の繋がらない兄、ジオンがいた。
あくまで、かつての話です。彼の抱えていた大きな秘密も、心の奥底で抱いていた想いも、失踪して19年も経った今となっては、とっくに過去のもの。そのはずでした。
なのに、ふとしたことから再び聞くことになった兄の名前。そして、アメリカのデトロイトで溺死したという報告が、櫻子に再び兄ジオンのことを思い出させます。
このジオンというのが、とにかく存在感抜群。物語開始時点では過去の人であるというのに、回想で書かれる姿や、櫻子が彼に対して想いを馳せるシーンがとにかく印象的で、いったいどんな人なのか、どんな事情を抱えていたのか、失踪してから今まで何があり、どうして溺死したのかなど、彼を取り巻くミステリアスな状況に目が離せません。
物語そのものも、序盤から不可解な謎やまさかと思うような驚きの展開の連発。
弁護士とはいえ一般人の櫻子にとっては、事件の裏で何が起きているのか見当もつきませんが、それは読書も同じ。なのに読み進めるのをやめないのは、それらの謎がストレスでなく、真相を知りたいという魅力になっているからでしょう。
複雑に絡み合った謎は、どのようにして紐解かれていくのか。そして、櫻子のジオンに対する想いはどこに行き着くのか。
謎と魅力に溢れた本格的ミステリーとなっています。
作風が多岐に渡る作者【雨杜和orアメたぬき】様が、満を持して『横溝正史ミステリ&ホラー大賞』に参加させている作品です。新作です。
このストーリーは、暗い雰囲気を帯びて鬱々と進みながら、先が読めない謎に巻き込まれていく感じですね。まさに本格ミステリーです。
第一話の掴み方が、まず素晴らしい。謎が謎を呼ぶ2話目以降も、いい。
雨杜和様はコメディーに振り切った作品も多く書かれていますが、この作品の様にダークな雰囲気のミステリーも得意とされています。本当に才能豊かな方です。
その雨杜和様が、練りに練って、考えまくって、推敲しまくって公開しているこの作品は、読んでいてもその力の入れられようが感じられます。
「作者様が本気出してきた」
って凄い思いましたね。
まだストーリーは始まったばかりです。これからもっともっと面白くなるでしょう。追いかけるのに遅いなんてことはありません。ぜひ、この本格ミステリー、読んでみてください!