生き別れの義兄は危険な香り。

米国デトロイトで発見された、男性の遺体。

弁護士、黒城櫻子の元に掛かってきた、国際警察からの電話。
それは米国デトロイトで男性の水死体が発見され、それが生き別れになっていた、兄の可能性があるというもの。

兄と言っても、血の繋がりはありません。
十二歳の時初めて出会った、一つ歳上の男性が、義兄のジオンです。
美しく、独特の雰囲気を持つ彼に、ただの家族とは違う感情を抱いていた櫻子。
義兄妹の恋愛展開になるかとドキドキしましたけど、話はそんな甘酸っぱい方向へは進んでくれません。

ジオンとは長年、連絡を取れずにいたのですが、警察の捜査によると彼の周りでは不審死が相次いでいたと言う。
それはジオンと離ればなれになる前、一緒に暮らしていた時も。そして出会う以前にも、不審な死がついて回っていたのだとか。

ジオンはいったい何者なのか。
家族であり特別な存在であった彼が本当に死んだのか確かめるため、単身デトロイトへと向かった櫻子は、だんだんと逃れられない事件に巻き込まれていく。

デトロイトと言ったら、アメリカで一番危険とも言われている都市です。そんな所に曰く付きの男の死を確かめるために向かって、大丈夫かと思うでしょう。
大丈夫なはずがありません!

ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けませんけど、全部読み終わった後思い返してみれば、危険の連続でした。
迫力のある文章が、起こる事件の不気味さと危険な雰囲気をよく描いていて、一話一話読むたびに、物語の世界に呑み込まれていきました。

危険を承知で、兄の影を追い続ける櫻子。
はたしてジオンの秘密を解き明かし、無事日本に帰れるでしょうか。

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