それはまるで、奇妙且つ美味しい営みを綴ったかのような

本作を酷く短く語るならば、食と、日常と、呪、或いは怪奇現象を綴られた物語。
話は陰陽師と警察官の女性二人主人公に据えて進むが、一つ一つの会話や出来事からはしかと感情や情景が伝わり、文章を読んでいるのにしっかりと映像を想像できるかのよう。

一つのコンセプトとして怪奇現象を取り扱っているため、ミステリーやホラーとしての一面が垣間見えるものの、登場人物、特に主人公のコミカルな会話や思考によって重苦しさや恐怖が和らげられ、とっつき易い内容となっています。

また何より特筆したいのが、食べ物や酒のなんとも旨そうな描写について。
味は匂いまでも思わされるそれぞれの描写には、それぞれの話毎に「今日はこれを食べよう」「昼だけど一杯飲んでしまおう」と思わせられる魅惑的かつ、蠱惑的な危険な一面を内容しております。
これからこの話を読まれる方、どうかご注意下さい(笑)

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