昔ながらのファンタジー作品らしい、心をくすぐる言葉が多めな地の文。
緊迫した戦闘シーンでは、その言葉選びのかっこよさが際立っています。
しかし、この作品の見どころはそこではありません。
堅苦しいとも思える文章の隙間に挟まった、メインヒロインであるリナさんの緊張感ない謎セリフと謎行動が、他の作品では見られない独特な雰囲気を生み出しています。
そのリナさんとは……
基本的には、色々なことが理解できないおばかさんですが、動物的直感が鋭い洞察力を発揮することもあり、デキる女の子とデキない女の子が同居している、なんとも不思議な魅力を持ったヒロインです。行動原理や思考は体育会系で、まず身体が勝手に動くタイプ。周囲の大人は呆れながらも面倒を見てあげたくなってしまっています。
小説の内容については、短く区切られた「節」のようなものが連続する読みやすい設計になっており、各節(1)での状況説明が非常に秀逸で、読書の世界へすぐに入り込むことができます。
また、この作者様の代表作と世界観が共通している部分があり、すでに既読な方はニヤリとできる場面がちらほら。先にこの作品を読んだ方でしたら、続けてその代表作を覗いてみることをおすすめします。
このレビューを書いている時点で、物語は最終決戦を迎えています。
勇者リナさんの熱き思い、皆様も是非、受け取ってあげて下さい!
俊足で元気一杯の少女・リナレスカの生きる世界は、戦いに満ちた過酷な世界。
人間は、妖魔や魔獣、ゴブリンなどと、日々命を賭けて闘っています。
伝令兵をしているリナレスカの夢は、幼い頃自分を救ってくれたような「勇者」になること。しかし、「勇者」の現実は、彼女が思い描いていた理想的存在などでは決してなく…。
主人公リナレスカの人物造形が、大変魅力的です。
勇者と聞くと「常人と違って、すごいスキルあるんだろうなー。強いんだろうなー」と思いますが、全然違うのです。
リナちゃんは、金欠で酒場のバイトをするなど日常茶飯事、時には騙され、時には友人を守るため身を挺して闘って傷だらけになり。とんでもなく泥臭い生き様。
師匠である勇者「飲んだくれ(エブリウス)」氏からは「剣の才能はねえ、体格もねえ、魔法も使えねえ、頭も褒められたもんじゃねえ」とこき下ろされたりしています笑
しかし、そんなリナちゃんは、誰にも負けないあるものを持っているのです。思いやりと愛情に溢れた、真っすぐで強い心を。損得なんかで動いたりしない、自分の名誉なんかよりも、目の前で困っている人の笑顔を選ぶ。そんなリナちゃんを、いつしか全力で応援していました。君こそ、真の勇者だ!と思いました。
文章が大変読みやすく、砦や人物の描写も巧みなので、まるで異世界で生活しているかのような気分に浸れます。遺跡探索あり、強敵とのバトルあり、一癖も二癖もある仲間あり、で次々に読み進めてしまいます。戦闘描写は特に秀逸。白熱したバトルシーンが鮮やかに描き出されていて見事です。
リナちゃんの成長はもちろん、広大な異世界での冒険も楽しめる本作。是非ご一読をお勧め致します!
足が速い以外に特段秀でたものがないリナレスカが、自身が目指す勇者(こちらでの勇者は国や都市の認定を受けた公認冒険者みたいな意味合いです)になるために頑張って突き進み、成長していくお話です。
とにかくリナちゃんが魅力的です。
一生懸命なアホの子というものは匙加減が難しく嫌みったらしくなることもあると思いますが、彼の女についてはそのバランスが絶妙で、ひたすら応援したくなる、登場人物も読者もたらしまくる女の子です。
登場人物をたらしまくるというように、リナちゃんと共に行くパートナーは老若男女様々です。
彼らはリナちゃんには無い個性的で尚且つ優れた特技を持っていることが多く、パートナーによっての事象の切り抜け方も様々で、毎回どんな魅力が飛び出てくるかワクワクします。
私の最近のご贔屓は軍師タイプなエクトール君です。
丁寧に説明される世界観や戦闘描写、何よりも魅力的な登場人物が繰り広げる物語、是非お楽しみください!
この物語の主人公である勇者リナレスカは、紛れもなく凡才だった。
特別な剣の才能がある訳でもなく、魔法も使えず、作戦立案に長けているということもない。むしろ、頭はちょっと足りない猪突猛進娘である。
故に前に向かって直進する。故に目的の場所へ、人の元へと直走る。損得ではなく、ただそうするべきだという信念、いや、もっと単純な自らの本能に従って。
愚直にも真っ直ぐ走る彼女だからこそ、才能ある者、地位ある者、世捨て人の酔っ払いでさえも、きっと惹きつけられるのだろう。
これは優れた才ある者の英雄譚にあらず。優れた心ある者の英雄譚なのだ。
骨格のある情景描写や、世界観、街や細かな設定は、読んだ人を冒険の世界へと連れて行ってくれることでしょう。
特別取りえがあるわけでもない少女が、努力して強くなっていくというそういうお話で、わたしはこの主人公の少女がとても大好きです。
彼女は凡人なので、いろいろと苦労します。
でも悲観的になって諦めたりはしません。いつも明るく前向きに努力します。
そして彼女は誰かを見捨てるというような事は決してしません。
彼女が今後、一体どれ程成長し、立派になっていくのか、私はずっと見守っていきたい、そう思っています。
この物語は私にそう思わせる魅力のある物語です。
皆さんも是非一度読んでみてください。
一度読めば、きっとこの少女を応援したくなり、目が離せなくなると思います。
特別な才能を持たない少女、リナレスカが様々な出会いの中で成長し、真の勇者を目指す本格ファンタジー……なのですが!
そんな簡単にまとめていい作品ではないです。
まず世界観。これがすごい。美しく繊細でどこか不安になる世界観に一気に引き込まれました。まだ謎も多く残されていて先が楽しみすぎます。
そして魅力的な主人公。リナちゃんの良さはここでは語り尽くせませんが、こんなに応援したくなる主人公ってなかなかいないと思います。
さらに戦闘シーン。圧巻です。どこもかっこいいのですが、主人公の伝令兵としての最後の仕事のとことか最高です。
流行りの要素はほとんどないですが、だからこそコアなファンが多いのだと思います。懐かしの本格ファンタジーを読みたいという方に特におすすめです!
このお話の主人公は、とっても元気で前向きな女の子、リナレスカ。
彼女の魅力は元気いっぱいで可愛い以外にも、たくさんあります。
すごく頑張り屋さんで、師匠の言った言葉の意味を自分なりに考えたりするところや、自分だけが不幸だと思っていたかもと自省できるところ、思い切りがよくって行動力のあるところ、それに、友達思いなところ等々、応援したくて堪らなくなる女の子なのです。
時折おかしな行動を取ることはありますが、それも彼女が必死に考えた末のこと。それすらも彼女らしくて、周囲が許してしまうのも納得です。
凡才と言われ、抜けたところもある彼女ですが、戦場における立ち回りの重要性を理解し、それを体現できる身体能力も持っています。
勇者を目指し、そして勇者として歩んでいくリナレスカの旅はまだこれから。
脇を固める飲んだくれ師匠もイイ味出てますよ!
お薦めします(^^)!