走る女の子は可愛い


昔ながらのファンタジー作品らしい、心をくすぐる言葉が多めな地の文。
緊迫した戦闘シーンでは、その言葉選びのかっこよさが際立っています。

しかし、この作品の見どころはそこではありません。
堅苦しいとも思える文章の隙間に挟まった、メインヒロインであるリナさんの緊張感ない謎セリフと謎行動が、他の作品では見られない独特な雰囲気を生み出しています。
そのリナさんとは……
基本的には、色々なことが理解できないおばかさんですが、動物的直感が鋭い洞察力を発揮することもあり、デキる女の子とデキない女の子が同居している、なんとも不思議な魅力を持ったヒロインです。行動原理や思考は体育会系で、まず身体が勝手に動くタイプ。周囲の大人は呆れながらも面倒を見てあげたくなってしまっています。

小説の内容については、短く区切られた「節」のようなものが連続する読みやすい設計になっており、各節(1)での状況説明が非常に秀逸で、読書の世界へすぐに入り込むことができます。
また、この作者様の代表作と世界観が共通している部分があり、すでに既読な方はニヤリとできる場面がちらほら。先にこの作品を読んだ方でしたら、続けてその代表作を覗いてみることをおすすめします。

このレビューを書いている時点で、物語は最終決戦を迎えています。
勇者リナさんの熱き思い、皆様も是非、受け取ってあげて下さい!

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