凡才だって誰かを救える。勇者になれる

この物語の主人公である勇者リナレスカは、紛れもなく凡才だった。
特別な剣の才能がある訳でもなく、魔法も使えず、作戦立案に長けているということもない。むしろ、頭はちょっと足りない猪突猛進娘である。
故に前に向かって直進する。故に目的の場所へ、人の元へと直走る。損得ではなく、ただそうするべきだという信念、いや、もっと単純な自らの本能に従って。
愚直にも真っ直ぐ走る彼女だからこそ、才能ある者、地位ある者、世捨て人の酔っ払いでさえも、きっと惹きつけられるのだろう。
これは優れた才ある者の英雄譚にあらず。優れた心ある者の英雄譚なのだ。
骨格のある情景描写や、世界観、街や細かな設定は、読んだ人を冒険の世界へと連れて行ってくれることでしょう。

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