秋田に暮らす女子高生・柳備朶(ヤナギ ソナタ)と、探偵エルフ・レナ=ホームズが、日常の小さな謎を追いながら「秋田の良さ」を見つけていく物語。都会にはない「何気ない風景」や「素朴な食文化」が、エルフの視点を通して新鮮に描かれます。
秋田の閉塞感に悩むソナタと、異国(異世界?)の視点で秋田を見つめるレナ。二人の交流を通して、「当たり前すぎて見えなくなっていた秋田の魅力」が次第に浮かび上がってきます。方言を交えた会話や、食文化・観光スポットへの丁寧な描写も、作品に温かみを与えています。
またこの物語には、筆者の秋田への深い愛情が込められています。ばっけ味噌おにぎり、秋田犬、春の桜など、秋田ならではの風景や文化が、郷土愛とともに描かれているのが印象的です。
見慣れた風景も、見方を変えれば新しい価値が見えてきます。秋田に住む人には郷土の魅力を再発見する機会を、秋田を知らない人には「行ってみたい」と思わせるような、素敵な物語です。
旅行へ行くとき、あなたはどこを目指して計画を立てるのでしょうか。
“定番の”、“穴場な”、“絶対行くならここ”。スマホやパソコンを駆使して、そんな検索ワードを打ち込み、地図アプリで上から見下ろして何処そこへ行こうとそう決めたなら、楽しい思い出になることでしょう。
それに対して本作から見えてくるのは、検索ワードにはなかなか引っかからない、知る人ぞ知る地元のローカルな風景。
しかし侮るなかれ。本作に登場する場所や食べ物、ご当地キャラクターは、しかと実在する!
それらを作中キャラクターたちが歩き、食べ、感じるものは読んでいる内に脳裏に広がり、ときに自分の地元の風景から想像し、ときに知らない場所へ思いを馳せて、まるで自分自信が知らない町を歩いているような気分になれる筈。
ちょっと知らない場所へ旅行を。そんな気分に浸りたいときは、エルフさんのいるこんな秋田県はいかがでしょうか。
また作中に登場するそれらを調べたなら、きっともっと楽しい旅行になること請け合いです。
この物語は、心に傷を抱える女子高生ソナタと金髪碧眼のエルフ探偵ホームズが秋田県で出会い、心を通わせていくストーリーです。
ほのぼの日常系の小説で、独特の雰囲気が懐かしさを感じさせます。
私は東北出身ではないですが、作者の描く情景が郷愁を思い出させ、心がほっとするような感覚をもたらします。
この作品からは紙の匂いさえ感じるような素晴らしい雰囲気が漂っています。
ウェブページで読んでも楽しいですが、紙の本になるとさらに魅力が引き立つと感じます。
映画や漫画にも適しているかもしれませんが、私はこの物語を本で読みたいと思いました。
忙しい日常に疲れてしまった人々におすすめの良質な作品です。