凡才少女は、非凡な心を持っている

俊足で元気一杯の少女・リナレスカの生きる世界は、戦いに満ちた過酷な世界。
人間は、妖魔や魔獣、ゴブリンなどと、日々命を賭けて闘っています。

伝令兵をしているリナレスカの夢は、幼い頃自分を救ってくれたような「勇者」になること。しかし、「勇者」の現実は、彼女が思い描いていた理想的存在などでは決してなく…。

主人公リナレスカの人物造形が、大変魅力的です。
勇者と聞くと「常人と違って、すごいスキルあるんだろうなー。強いんだろうなー」と思いますが、全然違うのです。
リナちゃんは、金欠で酒場のバイトをするなど日常茶飯事、時には騙され、時には友人を守るため身を挺して闘って傷だらけになり。とんでもなく泥臭い生き様。

師匠である勇者「飲んだくれ(エブリウス)」氏からは「剣の才能はねえ、体格もねえ、魔法も使えねえ、頭も褒められたもんじゃねえ」とこき下ろされたりしています笑

しかし、そんなリナちゃんは、誰にも負けないあるものを持っているのです。思いやりと愛情に溢れた、真っすぐで強い心を。損得なんかで動いたりしない、自分の名誉なんかよりも、目の前で困っている人の笑顔を選ぶ。そんなリナちゃんを、いつしか全力で応援していました。君こそ、真の勇者だ!と思いました。

文章が大変読みやすく、砦や人物の描写も巧みなので、まるで異世界で生活しているかのような気分に浸れます。遺跡探索あり、強敵とのバトルあり、一癖も二癖もある仲間あり、で次々に読み進めてしまいます。戦闘描写は特に秀逸。白熱したバトルシーンが鮮やかに描き出されていて見事です。

リナちゃんの成長はもちろん、広大な異世界での冒険も楽しめる本作。是非ご一読をお勧め致します!

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