儚くも美しい、とある眼鏡の物語

本作の主人公は眼鏡である。眼鏡っ娘ではない、眼鏡そのものである。
それも、そんじょそこらの代物ではなく、人類最古の眼鏡の視点で物語は描かれている。
彼は様々な人物の手に渡る。生みの親の船乗りや買い取った商人、博物館で展示されていた彼を盗んだ泥棒、とある国の姫君などなど……。
そうしてその眼鏡を通して、色々な人々が自らが見たい風景や書物、あるいは人間を見ていく。
それらが結びつき最後に交わる様は、圧巻の一言に尽きる!

無機物故の物の感じ方、捉え方を見事に描かれている本作はまるで芸術品のよう。
ラストの締め方も素晴らしく、今までの運命とこれからの未来を感じさせる素敵なオチである!

このレビューが目についた方は、是非とも本作をご覧いただきたい。
10分もかからずに読めてしまう、けれど2時間以上の映画を見終わったような、とても満足の行く読後感が貴方を待っていることだろう――。

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