なんと素敵な、甘酸っぱい物語であることか!

本作のヒロイン、詩織は文学少女である。だがそれ故に、好きな本について語り合える友人がいなかった。
図書委員の彼女が一人、閉館作業を進めていると、ある少年が本を返しにやって来る。
サッカー部のエースにして学校中の女子の憧れの宇佐美 武は、何故か詩織しか借りていない硬派な文学作品ばかり借りていて――。

この詩織と武の、互いを想う心の距離感がもう絶妙に描かれている!
もどかしいような、このままずっと今のままでいてほしいような、さっさとくっつけよオマエらと背を押したくなるような。甘酸っぱい恋愛という物が凝縮されている!

文学作品の説明も丁寧にされており、読むにあたって何の前知識も必要ない。それでいてクドくないのだから、これには作者様の技量の高さが窺える。

どこまでも透き通って綺麗な、これぞまさしく恋愛小説!な本作。
是非一度、ご賞味あれ。

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