『知』を持った物たちに紡ぎ出される世界と人々の悲しくも愛おしい物語です

 読むたびに万華鏡のように、自身の中で形や解釈を変えて読んでしまうので、つい、何度も何度も読んでしまいます。

 いつの世も人は新しい存在を畏れ、そして、いつしかそんなことを忘れ、ただ己の道具として使うことに慣れてしまう生き物ですが、この主人公?は、とある人の願いによって生まれ、それからというもの、自分の意志ではなく、ただただ、様々な旅をしてゆくうちに、周囲の出来事に巻き込まれたり、出会いと別れを体験したり……。

 そんな引き込まれるお話ですが、最後の最後に、ふと思いました。

 実は私たちは、この『誰か』が生み出した悪魔に『生み出された世界』の行きずりの旅人なのかもしれないと……。

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