認知症の老人を乗せた介護タクシーの女性ドライバーが謎の黒い車に高速道路をあおり運転され続けるお話。
――黒い車を運転するのは誰か?
話が展開されていく中で、さらに予想外の展開もされるのが、秀逸でした。
作者さまの作品、2作目を読ませていただきました。
前作『屍介護』がとてもおもしろかったので、そうそう越えられることはないんじゃないかなと思っていたのですが、その期待は裏切られ、本当におもしろい作品でした。
すでに書籍化されていますが、映画化もされたらいいのに、と。
KADOKAWAさまにはお願いしたいレベルでおもしろかったです!
みなさまに、おすすめです。
芹沢千晶は、介護タクシーの運転手。介護施設「紀豊園」から目的地の墓地への送迎を頼まれた彼女は、認知症者の龍崎を乗せて走り出すが、横暴な運転で迫ってくる一台の黒い車が全てを狂わせる。
その車を操るのは、幽霊か、それとも……。
車内で流れるラジオや、かかってくる電話をきっかけに、点と点が徐々に線となっていく千晶の過去と現在。果たして彼女は、「時々幽霊に支配される」老人と共に逃げ切れるのか。
若い女性と高齢者のタッグが新鮮で、読み応えがあります。時系列の転換が多い中、繋ぎが極めて自然なのも見事です。
ラストがどうなるか、楽しみにしています!
30話以上読んでからのレビューです。
今作は、冒頭からいきなり不気味なイメージから始まります。
仕事中に突然のあおり運転を受けた女主人公は、恐怖の原因が過去の出来事にあるのかと疑念を生じさせるのですが…。
あおり運転という、昨今話題の迷惑犯罪行為をテーマに描かれたホラー兼スリラーでもある作品です。
リアルな状況を演出するのに長けた作者さまが、これでもかとばかりに恐怖をあおって私たち読者を物語世界に引き込みます。
読者は、主人公の過去からこの事件の真相を探ろうとしますが、暗雲立ちこめる状況に終始ハラハラでした。
メインストーリーは、運転を不安がる介護利用者の老人との会話から、周辺の登場人物とのやり取りが中心となっていきます。
逃げられない状況で、いかに相手から身を守るのか?
女主人公は果たして、同乗者のご老人を守って無事に施設へ帰れるのか?
常識を超えたドライバーを、相手にする彼らが生き延びれることを祈りつつ、先を読み進めるのがドキドキハラハラです!