間話 女子会!
「う、うぇえ!?」
突然引っ張られる私。なになに!?おかしいでしょ!?
「さあ行くぞー!」
「今日こそ吐いてもらうんだから!」
「いくよー」
そんな私を引っ張る3人組は、私の友達である、金井春香ちゃん、逢坂紗南ちゃん、雪野碧ちゃんである。
「ほらほら!もうすぐ着くから暴れないで!」
「落としちゃうわよ!」
「も、もうむり……」
「え!?誰がもう無理っていった!?」
わちゃわちゃとしながら大通りを歩いていく私たち。
「ここだ!」
「へ!?ここ?」
そうして連れてこられた先はちょっとしたカフェだった。
「今日は!」
「いらっしゃい。」
どうやら春香ちゃんはこの店の常連のようで、なんの躊躇いもなく店内に入ると、店主さんと世間話を繰り広げていた。その話も一区切りつくと、
「いつものでいいかな?」
「うん。お願いします。」
「かしこまりました」
「さ、そっちすわろ!」
そうやって春香ちゃんが指し示した先にみんなで座ると、早速コーヒーと、砂糖、ミルク、それに幾つかのスイーツが並べられた。
「これだけいるし、今日は後ろに引っ込んどくよ。なんかあったら呼んでね。」
と、言い残し、店主さんはスタッフルームへ去っていった。
なんだか落ち着いた雰囲気……。
心も落ち着くなぁ。
……と、思ったのも束の間、
「ねえ!由良って沖田くんと付き合ってるの!?」
と、紗南ちゃんが尋ねる。
後ろでは、春香ちゃんと碧ちゃんもうんうんと頷いている。
期待している眼差しを向けてくれて悪いけど!
「私が沖田くんと付き合っている事実はありません!」
私は体の前でばつ印を作りながらはっきり否定した。
「え?あの距離感で付き合ってなかったの?」
春香ちゃんがそう言うけど、
「あの距離感?どんな感じ?」
「いや……お弁当食べさせあったり、一緒に登校したり、今日とか、確か、お姫様抱っこされてたよね?」
羨ましいなー。と言いながら付き合っている距離感だとする根拠を述べる碧ちゃん。
「うっ!……そう言われれば……」
「それにさ、沖田くんはわからないけど、由良の気持ちはどうなの?」
痛いところを突かれた。
「いや、そ、それはなんと言いますか……」
そう私が言葉を濁すと、ふーん。と言いながらニヤニヤする3人が。
「えっと、例えばなんだけど、突然沖田くんから抱きしめられたらどうする?」
いつもはおとなしいくせに今日に限って目を輝かせながら聞いてくる碧ちゃん。
「ぐっ……」
私はその様子を想像してみた。
――
「なぁ、すまん。島村さん。」
その瞬間、私の体は沖田くんに包まれる。
「へ!?」
私が驚いた声を上げると、
「ごめん島村さん。でも、ずっとこうしたかったんだ」
そう呟くと、彼はさらに力を強めて……
――
「……?おきて?由良。」
「へ?」
私は3人からすごく生暖かい目で見られていた。
「やっぱり好きなんじゃないの?」
「うん。今の由良、恋する乙女って感じだったよ?」
「私もそんな恋ができたら……嬉しいな。」
3人に揶揄われ、顔が真っ赤になった。
「さあさ、次はこんなシュチュエーションは?」
「そ、それは恥ずかしいよ……」
その後はずっとこのシュチュエーションの妄想をさせられ、私はあまりの気恥ずかしさにその日、写真フォルダに入った沖田くんの写真すら見れなくなった。
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