爆弾発言
「陽介くん?正座、しよっか。」
朝っぱらから教室という場所で正座を要求される俺。もちろん、要求しているのは由良である。
「なんで正座させられてるか、わかる?」
「わっかんねぇ。」
そう。俺はなぜ正座させられているのだろう。わからない。少なくとも昨日は山郷に奢ったあとはすぐ寝た。
つまり、大部分はプライベート以外ということ。公共の場で変なことするわけでもないし、本当に心当たりがない。
「とぼけないでよ。私は昨日の夜他の女といたってしってるんだからね!」
「??他の女?」
「そう!一年の山郷さん!一緒にカフェにいたらしいじゃん!」
「ああ……あいつは、話を聞いただけだよ。」
「話を聞いただけ!?カフェで奢って!?うらやま……けしからん!」
いやなんだよ。別何もしてないじゃん。多分山郷とももう関わることないし。
「なぁ。ほんとになんで俺正座させられてんの?」
「こ、このー!浮気者ー!」
由良は唐突に走り去って行ってしまった。
「なんだぁ、あいつ。」
「おい。陽介」
走り去ったほうを眺めていると、肩をたたかれ、後ろを振り返ると、俊吉がいた。
「お前……ほんとにぶちんだな。やばいぞ。」
「へ?にぶちんって、俺が?」
「自覚なし……こりゃ島村ちゃん大変だな」
気になる一言をこぼした俊吉にどういう意味か尋ねようとすると、
「沖田先輩ー!」
と、声が聞こえてきた。
「なんだぁー?忘れ物?」
「いやー違いますよ。私の愛しの沖田先輩に会いにきただけじゃないですか。」
「冗談いうなよ」
ケラケラと笑っている山郷とは反対に、周囲のクラスメイトはざわざわと落ち着かない様子になった。
それもそうだろう。
話題の一年生が俺のような目立たない人間と仲良さげに会話しているのだから。
「お前が一年の山郷か。俺はこいつの友達の厚木俊吉だ。厚木って言われることはほぼないし、俊吉とでも呼んでくれ。」
「ほぉ……あなたが……じゃあ、私も俊吉先輩と呼ばせていただきますね?そちらもどう呼んでいただいても大丈夫なので。」
俊吉はみんなが呆気に取られたりざわざわしている中、全く動じず自己紹介してみせた。
「……で、こいつも俺の友達。音成奏。俊吉の彼女。」
俺が奏の紹介をした。本人は今呆然として思考停止しているので、きっとしばらくしたら勝手に戻るだろう。
「そして……」
「ただいまー!やっぱなんだかんだ陽介くん……の、となり……が……」
「俺の友達の島村由良だ。面白いやつだぞ。」
「ほう……ほうほうほう!!あなたが!」
今までで一番にニヤニヤして由良を見つめる山郷。
それに対して、由良が放った言葉は、
「よ、陽介くんは渡さないんだから!」
だったが、悪ふざけした山郷により
「私、沖田先輩のこと、愛してますから!」
と返され、拗ねてしまった。
山郷は、やはりケラケラと笑って、
「あー!先輩たちほんと面白いですね!久々にこんな笑いましたよ。」
と残し、一年のフロアへ戻って行った。
昼休み、例のごとく隣の机から一緒に食べよ。と、誘われたが、その声には圧があり、何がなんでも呑ませるという強い気概が感じられるものだった。
4人揃っていざ昼食となって、食べ始めた時、ちょうど山郷が来たので、5人といういつもと違うメンバー食事を摂ると、いつも以上に話が盛り上がった。
うーん。平和!そう思っていると、爆弾を投下しやがった。
「昨日、初めてを沖田先輩に奪われちゃったんです〜!すっごく優しかったんですよ?」
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