ダブルデート 2
「何がどうなってんだよ……」
俺の目の前にはニヤニヤしている俊吉と奏のカップルがいる。
速攻連れてこられたカフェテリアで、俊吉と奏は注文をしたっきりこちらの俺と由良の座る席の方をニヤニヤ見ては顔を見合わせている。どうしたんだよと聞いても、いや?何にもないとだけ言ってまたニヤニヤ。
こいつらと離してても埒が開かない。
「なぁ由良?今日あれから弄られなかった?」
多少無理矢理にはなるが、暇なので、隣に座ってメニューを睨んでいる由良に話しかけた。
「うん?別に私はなんともなかったけど……それより陽介くんさ、このパフェとパンケーキ、どっちがいいかな!?」
「どっちでもいいだろ?」
しゃべらないなぁと思っていたらいつもの由良だった。
そんな俺たちを見て、驚いたのは俊吉と奏がびっくりしていたことだ。
「お、お前ら、名前呼びだったっけ?」
……あっ
もしかしてこいつら知らなかったパターン?
「お前ら昼休みのこと知ってて誘ったんじゃないの?」
「いや、私たちはただイチャイチャしてたとしか……」
そうやって本当に知らなかったような反応の奏。
「あ、じゃあ一応言っとくと、昼休みに、由良が名前呼びしろって言うから名前で言い合うようになりました。」
知らなかったのなら説明するのがいいだろうと一応の説明をする。
「……お前ら、よくそんなの公共で言い合ってなお付き合ってないとか抜かせるよなぁ。」
「だって付き合ってないのは事実だし。」
「へー……」
「大体俺のことなんて好きになるやつなんていないだろう。それなら変に期待すれば傷つくんだから人と付き合うことしねーと思う。」
「……好きなってくれる人がいない?」
俺が言った言葉に、さっきまでメニューを睨んでいた由良が反応した。
「あーあ。朴念仁ー!」
「馬に蹴られて死んじまえ!」
そんなこと言ってくるカップル二人組。
一方由良は不機嫌になって、
「本当にそう思ってる?」
「ひっ!……は、はい。」
めちゃめちゃな圧をかけてきた。
「だとしたら私はどうなるの?」
「い、いや、それは……」
確かに今までの行動から、由良には悪く思われていないとは思うが、
「それは、恋愛とはまあ違うものだろう?」
そうきっぱり言うと、
「「「はぁ……」」」
残りの全員にため息をつかれた。
「俺こいつマジで殺していい?イライラしてきたんだけど。」
「本当、さいてー!」
「陽介くんさ……」
三人から次々に罵られ、解せない気持ちになっていると、
「もう私は遠慮しないからね!」
「お、おう。」
そう、謎の布告をされた。
「それはそうと、パフェとパンケーキ。どっちがいいかな?」
「いつもの由良で安心したわ」
帰り道、話が長引き気がつけば流石に暗い時間になっていたので、俊吉はもちろん奏を、俺は由良を家まで送ることとなった。
「な、なぁ。腕、離してくれないか?」
「やぁだ。」
俺たちは、行きの時のように由良が腕にしがみついていると言う姿勢で歩いている。
……今はもうあいつらもいないし、流石に二人っきりにこんな暗い中腕に抱きついていると、付き合っていると思われても仕方ない筈だ。
「妙な勘違いを生むから……」
「べつにいいもん。」
そうやって、若干膨れながら言ってくる由良。かわいい。
「あ。そこ右。」
そうしつつも、由良は初めていく道で迷わないようにと的確な指示をしてくれる。
そう。俺はそこそこ長い付き合いである由良の家を知らなかったのだ。
じゃあこれを機にと、フンスと気合十分の由良に案内してもらっていると言うわけだ。
「ここここ。」
「は?……マジで?」
そこにあったのは、とてつもない広さの和風住宅である。
周囲は塀で区切られており、門が存在感を放っていた。
「まあ今日はその辺で!今度またあそぼ!楽しかった!次はうち来る?」
「へ?そ、それはちょっと……」
「ははっ!もしかしてビビってる?だいじょーぶだよ。今度遊ぼうね!」
そうやって笑うと、じゃ!と言って家の中へ入っていた。
いや、もしかして由良の親ってめちゃくちゃすごい人?
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