ドSで腹黒慇懃無礼な鬼可愛最強暴力聖女が綱紀粛正(むしろ粛清)します。

タイトルやあらすじからは単なるアンチテンプレ系作品のような印象を受けるかもしれませんが、完全にその枠を超えています。めちゃくちゃ面白いです。ゲラゲラ笑ったり、時々真顔になったりしながら楽しく読める御作品です。オススメです。

主人公の三華月さんは高い神格と実力を兼ね備え、いくつもの高度な特殊能力を持つ、自他ともに認める最強の大聖女なのですが…なにぶん「誰よりも心が狭い(御本人談)」ので、「崇められる柄ではない(御本人談)」どころか、かなりイカレた方でもあります。

基本的に倫理観がブッ壊れていて、土下座や内輪揉めを見るのが大好き。気まぐれすぎて急にアンデッドを狩るのは嫌とか言い出しますし、降りてきた神託にすら抜け穴を探す有様、信仰心(重要なステータス値です)を上げるためなら平気で最悪のシナリオを書きます。

でも言ってることは結構まともだったりしますし、(邪悪な理由で)気に入った相手にやけに肩入れしたりもするあたりは、やっぱり大聖女なんだなと思います。めちゃくちゃ口悪いですけどね!

こんな人がそこらの冒険者パーティにスッと入っているわけです。怖すぎますね…そして彼女は、ある意味でもっとも恐ろしいスキルを持ち合わせておられ、それを躊躇なく行使されます。しかも遅効性なのがヤバすぎですね。

ストーリーは泥沼の策動が繰り広げられ、毎回どう着地するのか予測できず、自由に動き回る登場人物たちの心理を読み解く人間ドラマの側面もあり、戦闘シーンもド派手で、台詞も地の文もキレッキレ、どう切り取っても魅力的です。ぜひ御一読ください!

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