正しくヒロイン(女性主人公)の鬼かわ最強のブラック聖女・三華月様の生き様が面白すぎる秀逸な異世界ファンタジー!
いえもう、一人称の地の文での喋りも「敬語」なのに、その他者の犠牲を省みない姿勢がぶっ飛んでいて面白すぎるんですよね。
何なら「信仰心」という実績のようなものを高めるためなら、自分の痛みすら顧みない。もちろん「どれだけ怪我してもケア可能な最強要素」があるからこそですが、その姿勢には清々しい爽快感すら覚えます。
「信仰心を高めるため♡」と書いてしまえば、いかにも敬虔な聖女様のようにも思えるかもしれませんが……。
私はむしろ、「やりこみ型ゲーマー」の雰囲気を感じました。しかも超上級者の。「信仰心を高めれば強くなる」というのもそんな感じしますし!
鬼かわ最強のブラック聖女・三華月様の魅力が爆発しすぎている作品。
登場人物も際っ際な人ばかりで面白くて、本当にオススメです……!
奴隷を買いハーレムを築き正義のヒーローとなる主人公が王道でありますが、本作品は王道の主人公達の事を、気持ち悪い男であり屑に位置づけております。
(1~4話、29~51話の話しではハーレム好きの屑が出てきます。)
ハーレム好な物語が好きな読者は、自分がキモイと言われているような感覚になるので、読まない方かよいかもしれません。
男に媚びる女が無限に出てくるハーレム物を読むと気持ち悪くなる私からすると、この作品は読んでいて気持ちが良いです。
やっちゃって下さいって感じです。
主人公がすごく邪悪な聖女なので、ちょっととっきにくいかもしれませんが、私ははまってしましました。
よくある作品では、ダークな主人公の物語はダークを目指すが、意に反して名声を得るのが王道ですが、主人公の聖女がどうも違うようです。
名声ってなんですか、そんなものクソの役にもたちませんよと言う主人公です。
ハーレム物が嫌いな読者にはおすすめの作品ですよ。
主人公の大聖女・三華月は、よくある「チートハーレム転生もの」の主人公のように分不相応に得たS級スキルでやりたい放題やっている人たちを成敗します。
いわゆる「テンプレートなろう系」に対する勧善懲悪という皮肉的な作品。
量産されたテンプレート作品に辟易している人や、よくある「楽して俺TUEEE」したり「ハーレムを欲望のままに堪能」したりする主人公が気に食わない人にはきっと刺さると思います。
また、主人公は大聖女でありながら「他人(クソ野郎)の不幸は蜜の味」という性格で、彼女の独白が面白く、自分の信仰心を上げるために策謀を巡らせたり容赦のないところも魅力的です。
ちなみに本作は改題されており、旧題は『大聖女様のクソ外道・無双譚。「クソッタレども」「ふんぞり返った奴等」をぶっ潰せ!』です。ひとこと紹介文はそこから拝借しました。
ひたすら自己中心的な思考や行動をする一風変わった大聖女様のお話。
私利私欲のためならどんな手段もいとわず、結果的には事件を解決に導き、仲間たちに平穏をもたらしてくれます。いや、大聖女様ご本人は誰一人として仲間などと思っていない様子ですが。
他の作品では大袈裟に扱っているようなネタであっても、さらりと使い流してしまうような展開の早さ。ネタと言えどテンプレ的な展開ではなく意外性があり、大聖女様のおもしろ思考と相まって、この作者様特有の雰囲気に思わず笑いがこぼれます。電車の中で読む方は注意が必要です。
展開が早い=必然的に舞台がどんどん移り変わるので、次から次へとスッキリ感が押し寄せてくる爽快なお話が連続し、登場するキャラクター達も個性が強く覚えやすく、飽きることなく安心して読み進めることができます。
こういったファンタジー作品に多く触れている方でしたら、特に楽むことができる作品だと思います。
だいたい、聖女が純心で、それこそ天使のような慈愛に満ちた存在だと誰が決めたのか!
本作に登場する聖女のような存在こそが、いやいや、待てよ、うん、何かおかしいなあ。
聖女が馬鹿な男ども、しかも調子に乗った勇者や、ハーレムを作るような愚か者に天誅を下すのはごもっとも、はい、即抹殺しましょう。しかし、それだけにとどまりません。
強大な力を与えられ、それを他人のためではなく、自身のために使う。いやあ、すがすがしいほどに自己中な聖女が誕生しました。
やること、なすこと、全てに突き抜けています。すかっとします。
とにもかくにも、読んでください。つかみからハマること間違いないですから!