働く大人は総じてカッコいい

 お仕事小説の魅力はなんといっても、その業界や職場で働いてみたいと思わせてくるほどの憧れを抱かせてくれる事です。
 佐和子さんの仕事と職業倫理は、読んでいて素直にすごい人だなと思えるものでした。それゆえに働き出すまでの怠惰状態てですと好感度は下がり続けるのかもしれません。でも、間違いなく7話で上がります。ここは保証いたします。
 葬儀社員の矜持と日常をたっぷり堪能できるお仕事小説です。

 今作のもう一つの顔であるミステリについても述べさせていただきます。
今作の謎を解く手がかりは全て提示された状態で謎解きが進んでいきます。それゆえに謎を自力で解くことが出来ます。読者に対して限りなくフェアな構成となっています。
 そして解決編では一つ一つ、丁寧に全ての謎の解説があり、ストンと腑に落ちる事でしょう。
 そう、全ての謎、疑問が解決されます。喉に刺さった小骨のような小さな謎である花屋さんの名前まで。

 終章の告別式ではまさに雰囲気に飲まれるという表現がぴったりと当てはまります。読んでいる時に告別式の厳かや空気がありました。そのせいか読了後、他の方々の応援コメントを読むとどこかかしこまっているように感じました。

 日常だけどご遺体がある、知らない業界のミステリー
どうぞ、お読みください。

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