葬儀社が舞台のミステリー

A子
「今回、紹介するのは、「ゆうべには白骨となる」だ!」
Bくん
「白骨ですか。どんな内容なんですか?」
A子
「ジャンルはミステリーだね。この作品の特徴は、舞台が葬儀屋ということだ」
Bくん
「葬儀屋、ですか。死体はミステリーにつきものですけど、すでにある場所が舞台なんですね」
A子
「そう、そこでとある奇妙な事が起きるんだけど、それを葬儀社に務める主人公が解決するために奮闘する、という話なんだ」
Bくん
「葬儀屋で巻き起こる事件ですか。想像つかないですね」
A子
「そう、そこが重要なんだよ。葬儀って、私やキミにもいずれ関わりのあることでしょ?
 誰しも利用する可能性があるわけだけど、その裏側だったり、どんな仕事をしているのかはあまり知らない人が多いと思うんだ」
Bくん
「まぁ確かに、映画の題材とかになることはあると思いますけど、数は少なそうですね。
 テレビとかのお仕事紹介とかでも、特集されそうなジャンルではなさそうですね」
A子
「死を直接扱っているから、下手には手を出せないのかもしれないね。
 私も詳しくはなかったから、葬儀や火葬についての描写が新鮮だった。
 かなり丁寧に書かれていて読みやすかったよ」
Bくん
「確かに。ためになりそうですね」
A子
「そうなんだよ。
 そしてミステリーに肝心な「謎」の部分だが、これがかなり濃厚だった。
 事件が起きて解決するという流れではあるんだけど、その中でも事態が一転、二転するから最後まで謎を楽しめたよ」
Bくん
「なるほど。仕掛けがいっぱいあるのはいいですね」
A子
「そう。後半は結構、話が入り組んでいくんだけど、頭がこんがらがったりはしなかったんだ。
 その理由は、2つあると思っている。
 1つは、単純に分かりやすく書かれているから」
Bくん
「分かりやすく書かれている? それって具体的には?」
A子
「例えば、伏線回収の際に、その時の会話を再度書いてくれていたりする。
 その他にも、重要になりそうな場所には、・・・が文字の上に振られていたりする」
Bくん
「あーそれは読みやすいそうですね」
A子
「なんとなく読んでいても、真相をスッと理解出来るんだ。
 そしてもう1つは、主人公が探偵や刑事ではないということ」
Bくん
「それってつまり、謎解きの専門ではない、ってことですか?」
A子
「そう、主人公は葬儀関係の仕事をしているだけだからね。
 けど、名探偵の真似をして頑張って謎解きをしようとするし、葬儀や火葬については詳しいから、徐々に真相に辿り着いていくんだ」
Bくん
「名探偵の真似って、なんだか可愛らしですね」
A子
「もちろん洞察力は凄いんだけど、新米ということもあって、すぐに真実に辿り着かないんだ。
 徐々に徐々に、同僚と事件について会話しながら捜査を勧めていく。
 これにより、読んでいながら、頭の中を整理出来たんだ。
 それに、主人公と一緒に謎解きを勧めている気分になって、応援したくなってしまったよ」
Bくん
「あー、名探偵が主人公だと、鋭すぎるがあまりにいつの間にか真相に辿り着いてることがありますもんね。
 名推理をする探偵や刑事を【カッコいい!】と感じる作品ではなく、不慣れな主人公に【頑張れ】と言いたくなる作品、ってことですか?」
A子
「そんなところだね。
 だから、分かりやすさと、謎の難解さを両立している作品だと、私は感じたよ。
 中盤辺りから、手が止まらずに一気読みしてしまった。
 前述したように、読みやすいから、フラッと読んでみてくれ」
Bくん
「なるほど。興味出てきました。
 読んでみま〜す」


おわり

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