感受性豊かな葬儀屋の新人×怠惰でぐうたらなデキる先輩の迷探偵バディ!

葬儀屋で働く新人の宮田誠人は、粛々とした葬式の場には少し似つかわしくないほど感受性が豊だ。だが、それが彼の魅力でもある。そんな誠人の先輩、音喜多佐和子はクールでちょっぴり怠惰。就業中に映画を見たり羊羹を食べたり。でも、ぐうたらと見せかけて仕事には真摯だ。故人や遺族に対して真っ当に向き合い、この仕事を心から誇っているように思う。そんな二人が迷探偵(?)バディとなって、火葬前に取り違えられたご遺体を探す葬儀屋ミステリー作品である。

あまり多くを語るとネタバレになってしまうのがミステリー作品のレビューが難しいところ。とにかく「読んでくれ」としか言いようがない。読んで絶対に損はしない良質なミステリーであることは読んだ私が胸を張ってお伝えしたい。

殺人事件とか建物の爆破とか、そういった派手な要素はない。なぜなら事件に巻き込まれたのは既に故人だから。そして主要の二人は警察でも探偵でもなく葬儀屋だから。

葬儀業界のあるあるや通例など、普段垣間見ることができない裏側を覗き見ることができるのも本作の見どころ。誠人の突飛な妄想力と佐和子の冷静な着眼点、そして葬儀屋の仕事を通じて事件を解決に導きます。

このミステリーの落としどころを、ぜひあなたの目で確かめていただきたい。そして人の別れに寄り添う彼らのことを、少しでも知ってほしい。

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