あまりにも壮大なスケールの一大群像劇

どこかキリのいいところまで……と思ってたら、お話に一区切りつくどころか100話近く読んでまだまだ起承転結の起を終えてる感じがしない……!

とある城砦都市が一夜にして消滅したのをきっかけに二大国間で高まる軍事的緊張、その城砦の調査に赴いたはずの部隊が魔霊鬼と呼ばれる怪物の襲撃にあったことから、隣国からの一方的な宣戦布告と魔霊鬼絡みの陰謀という二つの問題に直面することとなる王国、そんな主物質界が直面する危機を調停するために現れた英雄、さまざまな者たちの思惑が折り重なるように渦巻く中で両国の軍事衝突というゼロデイに向かって事態が突き進んでいく……というところで、100話を過ぎた時点でまだそのゼロデイに届いていない、というものすごい大風呂敷の超大作大河ファンタジー、たいへんに読み応えのある一作だと思います。

主流の異世界ファンタジーとは一線を画する非テンプレ作品ではありますが、チート級の強者や伝説的な賢者、英雄など雲上人のような面々がずらり顔をそろえて、魔導や剣術の技、あるいは会話の応酬で真正面からぶつかり合う構図はある種バトル漫画などで見慣れた構図とも言え、難しい翻訳小説というよりはどちらかというと少年漫画誌の看板タイトルのような王道感があったように思います。

とにかく次から次に新しい登場人物が出てくるばかりではなく、一人の人物に通名と本名があったり、肩書がカタカナでそちらで呼ばれたりと大勢のキャラクタを追いかけていくのがなかなか難しくはありますが、ここまで後先考えない大風呂敷を広げて、一年以上にわたって長期連載を精力的に継続されているのは単純にすごいと思いました。
まだまだ先は長いですが、できる限り先々追いかけていきたいと思います。
よろしくお願いします。

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