細部まで完璧に創り込まれた世界が魅力的な現代版古典ファンタジー

まさに王道ファンタジーですね。紛うことなき名作です。
この作品の素晴らしさは星の数と数多のレビューによって証明されているので、私自身が感じた魅力や感想を主に書かせていただきます。

やはり私が魅力だと感じたのは、完成された世界観の緻密さと文章ですね。
圧倒的です。読み始めて早々、「こういうのが読みたかった」という思いで満たされました。
難しい用語も多数登場しますが、登場の際には必ず「それが何であるか」を説明してくださるので「難しくて読めない」といったことは起こらないかと思います。
文体やルビなどにも気を配られておられるので、重厚でありながら読みやすさも兼ね備えています。

また、ダークファンタジー特有の救いのない絶望感や欲望まみれの無秩序さなどはなく、人権や男女平等への意識が高く、悪人は即座に成敗される、比較的行儀の良い世界です。ですので、そういった陰鬱な世界が苦手な方でも安心して楽しめると思います。
「次のページを捲るのが怖い」といったストレスが無いのは、読み手にとって重要です。

かなり女性優位の世界として描かれていると感じましたので、どちらかというと女性向けの本格ファンタジー作品であるかもしれません。
読者が自己投影可能な、いわゆる「等身大のキャラ」として「第一王女」が存在するのも理由ですね。彼女が心身共に成長してゆく姿も魅力です。

改めて申しますが、とても素晴らしい作品です。
さらに多くの皆様に、じっくりとこの世界に浸っていただきたいですね。
オススメです。

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