重厚感溢れる、王道を往く壮大な群像劇

本作を一言で言い表そうとするならば、"数多の思惑が交錯する群像劇にして、何処か懐かしさを覚えるファンタジー"である。

初っ端から難攻不落と謳われた城塞が謎めいた魔術師によって木っ端微塵に吹き飛ばされるわけだが、その描写たるや圧巻の一言。地の文も硬派で、緻密な心情・情景描写が魅力的ゆえに、1話1話と読み進めてゆく度、次は一体どうなるのかとワクワクが止まらなくなる。

何より、理の外からやって来た未知なる脅威"魔霊鬼(ペリノデュエズ)"の与える絶望感たるや凄まじく、下位個体でも恐ろしさを覚えずにはいられない。

各陣営がどう交わってゆくのか、これからも楽しみに、腰を据えて読み進めていきたい傑作である。

その他のおすすめレビュー

輪廻さんの他のおすすめレビュー146