『冒険者新書』が見せる世界。これは自分らしく生き抜いた主人公たちの物語

著者を変え、永きに渡って書き綴られているとされる『冒険者新書』を紐解いてゆく物語です。その性質に伴って、本作自体も「各章完結の中編集」となっております。
形式としては「世界観」に重きを置いた群像劇となっており、各章ごとに『冒険者新書』にも謳われている「主人公」が登場します。その作り込みは素晴らしく、思わぬ言葉が物語の伏線となっていることも。
最初の主人公となる『アネット』は、まさに心身共に成長するヒロインとして魅力的に描かれています。絶望から立ち上がってゆく彼女の姿と、単なる「善悪」に囚われない価値観には、思わず心を動かされることでしょう。

一見するとダークな印象を受けますが、文章や言葉選びにも気を配られておりますので、ライト層でも手を出しやすいです。
ぜひ多くの皆さまにも、お読みいただきたい作品ですね。

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