第9話 『クレーム対応』 その2


 ブラック・メンたちは、マスクも帽子も、ブラック・スタイルでばっちり決めて、地球に降り立った。


 人類型の、2ロボットである。


 ロボットと言っても、素材は、どうやら、金属ではない。


 地球人類には、まだ、わからない素材であるらしい。


 かれらは、いまや、屋台の居場所を特定することができた。


 屋台自体が、放射線を出していることがわかったからである。


 それは、地球人類には、かなり、有害なレベルであるらしかった。


 つまり、一刻の猶予もないのだ。


 この先、地球での商売にも、悪影響を与えるに違いない。


 はやく、処分する必要がある。


 屋台は、霧の出る地域を、渡り歩いているらしく、いまは、主に、にぽんや、ブリタニーにいるようだ。 


 彼らは、今夜、捕獲する段取りとした。



   ・・・・・・・・・・・



 やましんが、例のごとく、夜のお散歩にうつつを抜かしていると、霧の中から、屋台が現れた。


 メールを打ったあとだから、ちょっと、心苦しくもあった。


 あの、首から上がないおじさんも、ちゃんと指定席に座っている。


 しかし、屋台自体は、とくに変わりもなく、注文を聞いてきた。


 『おでん、おまかせで。二千ドリム以下で。』


 『まいどお。』


 と、表示が出る。


 早いのは、いつものことで、2分もしないで山盛り出てきた。


 首から上がないおじさんは、まったく、無関心に、新聞を読んでいる。


 どこで、調達するのだろうか。


 いつも、不思議な気はしていた。


 まあ、それは、良いことにして、やましんは、あつあつおでん、を、いただき始めたのである。


 絶品である。


 優しい口当たり。


 上品な、良くしみたお味。

 


 テレビもラジオも、この店にはない。


 静かなものだ。


 今夜は、他の客もあらわれていない。


 やましんも、少し、緊張が弛んだ、その時であった。



 奴らが、現れたのである。


 全身、黒のスタイルで、ぎっちり纏まっている。


 顔つきは、サングラスで、良くわからない。


 あきらかに、『我々は、怪しいものである、』と、自己主張しているようなものである。


 そうして、わけのわからない言語で、何かを言い渡したのだ。


 すると、首から上がないおじさんは、信じがたいような、猛烈なスピードで、動いた。


 外国のSF映画みたいだ。


 首から上がないおじさんは、現れた二人を、あっという間に、屋台から外に向かって、突き飛ばしたのである。


 ふたりは、紙人形のように、飛んだ。


 そうして、なんと、やましんが、お箸を持つ手を動かすいとまもあらばこそ、屋台全体が、バタバタ、と硬い何かに覆われてしまった。


 そうして、何処へともなく、その場から、消え去ったのである。



 ああら、やましんや、如何に?


 

  ・・・・・・・・・・・・・・・


 


 




   次回。『きみ、通報したな。』

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