第12話 『対決! 屋台』その2
王女さまは、強いのなんのって、黒服のふたりは、まるで、おもちゃのように扱われてしまった。
すっかり、戦闘意欲を失ったらしいふたりを、王女さまは地面に転がした。
『まあ、あなたがたも、普通の生き物ではないかもしれないけど、食事はするんでしょう。』
ふたりは、回答しなかった。
『まあ、愛想のない人たちね。でも、愛想ばかり、より、いかしてるかも。』
屋台の中から覗き見していた、やましんが、卒倒しそうになった。
『まあ、いいわ。屋台は直してあげる。放射線もれが無くなったら、あなたがたがやるべきことはなくなる。でしょう?』
『われわれは、屋台を回収し、廃棄するように命令された。壊れているかどうかは、問題ではない。実行しなければ、処刑される。』
『ふうん。じゃ、屋台は直して、で、ふたりとも、ばらばらにして、食べて差し上げましょう。あたくしは、大概のものは、食べられるから。なら、いい? 大将、料理してくれる?あなたも、食べるでしょう?』
やましんは、ますます、真っ青になった。
黒服のふたりは、顔を見合わせた。
『それは、趣旨が違う。』
『あら。じゃ、おのぞみなら、屋台皇帝陛下に、お口添えいまたしますよ。もし、ごちゃごちゃ、いうようようなら、食べちゃうわ。』
『あ、なんでも、食べちゃうんですね。』
やましんが、一言言った。
これが、やましんの、泣き所であり、ある意味の、強さでもある。
『まあね。でも、なるほど、あなたも、よく生きてきたわね。上役には、嫌われたでしょう。』
『はい。まあ。』
『あたくしは、悪魔め、鬼め、とか、言われるのが好き! だから、あなた、気に入った。まあ、まず、修理しましょう。はい、小人さんたち、出ておいで。』
王女さまは、ちょっと大きめの、さぞやお高そうなバッグから、小さな箱を取り出して、ふたを開けた。
『え? あ、このバッグは、100年ほどまえに、地球の銀座で買いましたの。第3次地球大戦の直前でしたが、たしか、当時、75万ドリムでした。さすが、丈夫なのよ。』
しかし、問題は、小箱の方である。
なにやら、ノミのような黒いものが、わんさと沸き出した。
『う、ああ!』
やましんが、身体中、痒くなったらしい。
『これは、ひとつぶ、ひとつぶ、が、高性能ロボット。ナノボットね。さあ、屋台の中を調べ、悪いとこを修理しなさい。』
黒いものたちは、どわっと、屋台を取り囲み、さっさと、内部に侵入したのである。
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次回、最終回!
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