第2話 『屋台の故郷』


 屋台長官


 『状況は、いかがですかな? シュポクリ科学主幹。』



 シュポクリ科学主幹


 『まあ、概ね良好で、利益も順調に上がってます。各星、各地の人気夜食メニューを厳選し、安価に、すばやく、提供しますからな。しかし、実は、太陽系からは、定期検査に、一台戻ってこないですな。』



 屋台長官


 『地球に出したやつか?』




 シュポクリ科学主幹


 『そうです。脱走か、故障か、その両方か、または、収奪されたのか。まだ、わかりません。』



 屋台長官


 『じかに、地球に回収班を出すべきでは? あの管理人は、かなり、危ない霊体だしな。』




シュポクリ科学主幹


 『そうなんですが。しかし、地球は、非常に、危険な世界です。我々には致命的な『音』に満ちています。しかも、意味のとおらない電磁波が溢れていて、回収班が無事に帰れる可能性は逆に少ないです。まさに、毒の世界です。毒をもって毒を制す。幽霊をもって幽霊みたいな世界を制す。やはり、自動配信、自動回収でないと。しかし、一方、なにしろ、大きな市場なので、この実験屋台がうまく行けば、やがて巨大な儲けになると思ったのですが、その屋台がだめならば、地球は商売先としては、諦めるべきですな。』



屋台長官


 『《全宇宙に屋台を❗》 という、わが大銀河皇帝陛下の意向が、通らないことになる。それは、まずい。我々のクビも飛びかねない。なんとしても、成功させねば。』



シュポクリ科学主幹


 『陛下は、そういうことも、つまり、うまく行かないことも、ですが、あるという事を、お知りになるべきでは? 地球は、あまりに危険すぎます。あれは、やはり、妖怪惑星です。』



屋台長官


 『んなこと、陛下に言えるわけない。あの、全身これ屋台、の陛下は、向かうところ敵なしの屋台皇帝なのだから。どんな世界であろうと、妖怪であろうと、化け物であろうと、うまく行かないなんて、あり得ないよ。』



シュポクリ科学主幹


 『はあ。そうですね。まあ、引き続き、居場所の特定と、本体回収に努めます。しかし、それでなくても、地球人は、戦争が大好きな、好戦的で、危険な生命体ですからな。強力な核爆弾も、持っているようですし、一時期は、実際に、大量に自分の惑星で、使ったようです。なんのために使ったのかは、解明できていません。おかけで、地球の調査に入っていた、たらこん星人は、全滅したとか。たらこん星人は、地球人は見えないはずなので、攻撃されるはずはないのですが。まあ、我々は、核エネルギーは、平和利用のみしか考えませんが、うわさでは、地球のある種のサラリマンは、なんと、小型の核爆弾を常時鞄のなかに携帯しているとも言われます。仕事にしくじったら、それで、自爆するらしいです。まだ、実例は発見していませんがね。たらこん星からの、うわさかもしれません。まあ、調査には、もう少し、時間はかかるかもしれないです。』



屋台長官


 『しかし、その屋台は、とっくに、食糧の原料は尽きてるだろうに。』




シュポクリ科学主幹


 『それです。『協力者』ができたという報告までは、来てましたから。そこからが、途絶えました。たぶん、調達には成功し、意外と、まだ、着々と儲けてるかもしれない。たまたまた、なにかの事情で、バイパス通信が出来ない状況かもしれないです。引き続き、連絡に努めます。』



屋台長官


 『まあ、屋台自体は、そう、問題ではないからな。いざとなれば、自爆するだろう。しかし………』




シュポクリ科学主幹


 『ですね。やはり、あの管理者がね。そこに行きますか。良からぬことを企んでなければ良いが。そうなると、やっかいです。確かに。』




  🍜🍥・・・・・・・・・・・ 🍢


             つづく

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