聡明でちょっぴり残念な若君とお転婆で求心力のある姫は、国を導く恋をする
- ★★★ Excellent!!!
嘘で飾っての出会い。そして、定められていた出会い。
二人の出会いは運命的なものではなかったかもしれません。
それでも私は、この二人は運命で結ばれているのだと固く信じています。
お互いがお互いを鼓舞して、成長させていく。そしてそれが、ゆくゆくは国を良くすることに繋がっていく。
世界の方が、彼らが出会うことを求めていたような。そう感じられてならない恋愛が、この物語では描かれています。
そうなんです。この物語の魅力は、恋愛だけではないのです。
もちろん恋愛要素もばっちりで、二人の距離の縮まり方にどきどきしたりわくわくしたりと、恋愛物語としての読みごたえも抜群です。
しかし私が何よりも惹かれているのは、二人の恋や二人自身を成長させていく濃密な展開の数々と、その土台になるしっかりとした世界観です。
二人を待つ障害は、国規模の問題です。
戦争が起こるかもしれない。それを止められるのは、ここにいる二人だけかもしれない。
鬼の王の若君である碧霧の立場と知力、そしてそのパートナーとなることを求められる姫の胆力と能力。
二人はお互いの持てるもの全てを出し尽くして、国を導いていく。
それが本当に面白いんです。
一つ一つの展開が丁寧で緻密であり、説得力があります。
文章も端正で読みやすく、いつも気づけば夢中になっています。
読んで後悔することのない物語が、ここにあります。ぜひ、この面白さを分かち合ってください!