悪役令嬢の物語フレームを利用しつつ大胆に仕上げた爽快な逆転劇

■読み進めて最初に気づいたのは『あ、これ悪役令嬢ものか?』という疑問だった。言い方は悪いがいわゆるジャンル物である。物語を創作していくにあたり、様々なジャンル分けというのは存在する。そうした中で定番ジャンルというのは存在し、定番であるがゆえの基本フレームも存在する。この作品の場合、相当するキーワードが〝悪役令嬢〟と言う基本フレームなのだ
■しかしこの作品の場合、その基本フレームは定番通りには進まない。物語視点はヒロインではなく、本来であれば傍観者であるはずの1人の騎士見習いの少年を軸として進む。王子とヒロインと悪役令嬢、そしてその取り巻き。それを一歩下がった立ち位置視点から本当の主役のヴィゴーレが事件の真相を暴くべく行動を開始する。そうこの物語の本当の物語フレームは悪役令嬢ではなく〝ミステリー〟や〝サスペンス〟に近いものなのだ
■この国の王子殿下とヒロインのエステル、そしてエステルにいじめを働くご令嬢――、そのイジメの真実を突き止めると言う任務をヴィゴーレは命じられる。そして地道な行動の末に見えてくる様々な事実。そして彼はヒロインの本当の姿を知り、だが本当の被害者なのか? その一端を知る。そして世界に仕掛けられた歪んだシナリオを暴くための一世一代の行動が始まる
■その歪んだシナリオの正体が何なのか? は本編を見てもらいたい。それにしてもこのヒロインやっぱ酷いわ(笑)

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